パソコンの性能を見るときに、一番重要視されるのが「CPU」です。

パソコンの「頭脳」であり、様々な計算や作業は、ここがほとんど行っています。
CPU の性能が高いほど、パソコンは速く、反応よく動きます。

よく使われている一般的な CPU は以下のものです。

Core Ultra 7:高性能の新型。値段は高めですがお勧めです。
Core Ultra 5:中間性能の新型。バランスの良いタイプです。

Intel Core Ultra

Core i7:従来型ですが高性能。価格は高めでしたが Core Ultra より安いです。
Core i5:中間性能型。値段と性能のバランスが良いタイプです。
Core i3:価格が安めのタイプ。性能は下位です。
Pentium か U300:安いタイプ。採用製品は少なめです。性能は低め。
Celeron か N100:もっとも安いタイプ。安価なパソコン用で、性能は低いです。

Intel CPU ランク図

よって性能の良いパソコンが欲しいなら、Core Ultra か Core の 7 か 5 を選びましょう。

Celeron や Intel N100 が使われたパソコンは、安さのみを追求した製品だと考えて下さい。
初心者向けとされますが、初心者こそそれなりの性能がないと、うまく使うことができず、用途も限られてしまいます。

近年、Core i7 より上位の Core i9 や Core Ultra 9 も見かけるようになりましたが、高価で一般向けとは言えません。


ただ、2024年以降、ノートパソコン用の CPU がたくさん登場し、古いものもまだ新製品に使われていたりするので、多様なものが混在して初心者にはわかり辛くなっています……

少し難しくなりますが、以下に各CPUの特徴をまとめておきますので参考にしてください。

・Core Ultra 200H シリーズ(Core Ultra 7 255H など)
2025年に登場した、Intel 社のノートパソコン向け新型CPUです。
第13/14世代 Core の後継で、設計名は Arrow Lake。
AI処理は前世代ですが、内蔵グラフィック機能は新世代相当で、高性能でコスパに優れます。

・Core Ultra 200V シリーズ(Core Ultra 7 256V など)
2024年に登場した、Intel 社の軽量ノートパソコン向け新型CPU。通称 Lunar Lake。
高性能ですが、マルチコア性能(多重処理)がやや弱く、少し偏った性質を持ちます。
AI処理と内蔵グラフィック機能が新世代、消費電力と発熱も少なめですが、お値段は高いです。

・Core Ultra 100H シリーズ(Core Ultra 7 155H など)
2024年の年初に登場した、Intel 社の新型ノートパソコン向けCPUの初代。通称 Meteor Lake。
AI処理は前世代ですが、内蔵グラフィック機能は新世代と比べても大きな差はありません。
2025年時点では、最新型と比べるとやや性能が落ちますが、少し安くなっています。

・Ryzen AI 9 シリーズ(Ryzen AI 9 HX 370 など)
2024年に登場した、AMD 社のノートパソコン向けCPU。設計は Zen 5。
AI処理と内蔵グラフィック機能が新世代で、バランスの取れた高性能を持ちます。
消費電力が同世代の他のCPUより高めなので、主に高性能機やゲーミングPCに使われています。

・Ryzen AI 7、Ryzen AI 5 シリーズ(Ryzen AI 7 350 など)
2025年の夏に登場した、AMD 社のノートパソコン向けCPU。設計は Zen 5。
高額の Ryzen AI 9 を安価にした製品で、安さと性能を両立しています。
内蔵グラフィック機能は弱めですが、AI処理機能を持ち、コストパフォーマンスに優れます。

・Ryzen 9000HX シリーズ(Ryzen 9 9850HX など)
2025年に登場した、AMD 社のゲーミングノート用CPU。設計は Zen 5。
AI専用の処理機能はなく、内蔵グラフィック機能も弱めで、ノートPC用ビデオカードとの併用が前提の作りになっています。

・Core i7-1355U、Core i5-1334U など
2023年に登場した、Intel 社のかつての主流CPUである第13世代 Core(Raptor Lake)の、ノート用 省電力型です。
価格が下がってコストパフォーマンスが良くなっているため、AIがなく内蔵グラフィック機能も前世代ですが、安価機や家電メーカーの製品では多用されています。

・Core 7 150U、Core 5 120U など
2024年に登場した、Intel 社の安価で省電力なノートパソコン用CPUの後継で、中身は第14世代 Core(Raptor Lake Refresh)です。
第13世代 Core よりやや高性能で、2025年から省電力CPUはこちらが多用されています。

・Core Ultra 7 155U、Core Ultra 5 125U など
2024年に登場した、初代 Core Ultra(Meteor Lake)をベースとした、省電力なノートパソコン用CPUです。
性能は第13世代 Core と大差ないですが、初代 Core Ultra と同等のAI機能を持ちます。

Core Ultra 200U シリーズ(Core Ultra 5 225U など)
2025年の夏に登場した、Intel 社の省電力なCPUです。設計は新世代の Arrow Lake。
シングルコア(単一処理)の性能で Core 5 120U などに及びませんが、省電力かつ低発熱でAI機能を持ち、なにより安いため、安価な小型ノートPCで普及しつつあります。

・Ryzen 200 シリーズ(Ryzen 5 230 など)
2025年の夏に登場した、AMD 社のやや省電力なCPUです。設計は Zen 4 の後期型。
Core Ultra 200U シリーズよりマルチコアの性能に優れますが、発熱ではやや劣ります。
なにより安いので、安価な大型ノートPCで普及しつつあります。
AI処理は持つもの(末尾が230以上)と持たないもの(末尾が220以下)があります。

・Core i7-1255U など
2022年に登場した Intel 社の省電力なノートパソコン用CPU。第12世代 Core(Alder lake)。
2025年現在、旧世代になっていますが、NEC の新モデルには使用されています。

・Intel U300、N100、Celeron、Ryzen 7 7730U
格安ノートパソコンや、家電メーカーのパソコンに使われている低性能な省電力CPUです。
性能は Core i3 以下ですが、Intel U300 は第13世代 Core で、まだマシな性能です。
Intel N100 と Celeron 7000 シリーズは第12世代で、安さのみが取り柄です。
安価機によく使われている Ryzen 7 7730U は、U300 と N100 の中間ぐらいです。

・Snapdragon X Elite / Plus (ARMプロセッサ)
2024年に登場した、Qualcomm 社のモバイルノート向けのCPUです。
省電力で、AI処理や内蔵グラフィック機能も新世代ですが、ARMプロセッサと言う特殊なタイプで、動くソフトが少ない欠点があります。
詳しくは こちら をご覧ください。 あまり初心者には勧められません。

・Snapdragon X (ARMプロセッサ)
2025年に登場した、Qualcomm の安価なモバイルノート向けCPUです。
AIや内蔵グラフィック機能は新世代ですが、性能は低め。でも第13世代 Core の省電力型よりは高めで、その特性がわかっている人向けの製品です。


ただ、上位の Core i7 や Core i5 でも、古ければ高性能とは言えなくなります。

CPUには登場時期を表す「世代」があって、以下のようなものがあります。
(以下のプロセッサとは CPU のことです)

第12世代 Core プロセッサ:2021年末に登場、通称 Alder Lake
第13世代 Core プロセッサ:2022年末に登場、通称 Raptor Lake
第14世代 Core プロセッサ:2023年末に登場、通称 Raptor Lake Refresh

Core Ultra シリーズ1:2024年の年初に登場、通称 Meteor Lake。ノート用
Core Ultra シリーズ2 (200V):2024年秋に登場、軽量ノート用、通称 Lunar Lake
Core Ultra シリーズ2 (200S、200H、200U):2024~2025年、通称 Arrow Lake

2025年現在、デスクトップパソコンの主流 CPU は Core Ultra シリーズ2 となっています。

ノートパソコンは色々な種類が使われていて、安いノートパソコンでは第13世代 Core もまだ現役ですが、第12世代や11世代は旧式化しています。

Core i7 が使われていても、それが古い世代なら「型落ち品」です。
例えば第11世代の Core i7 だと、第12世代の Core i5、第13世代の Core i3 程度の性能になります。

また、CPU の世代によって「メモリ」や「マザーボード」などの他のパーツも決まるので、前の世代の CPU が使われている場合、他の部品も旧世代だったりします。

cpu

CPU はこの様な板状のパーツです

Intel の CPU

同じ名前でも世代が違えば性能は別物

CPU には「型番」が付いていて、それで世代を判別できます。
また、同じ世代のCPUでも、いくつかのバージョンがあります。

例えば第14世代の Core i7 には以下のようなものがあります。

Core i7-14700K:愛好家向け。高額だけどより高性能。ただし消費電力と発熱が高い。
Core i7-14700:標準タイプ。性能、価格、消費電力、発熱が普通。
Core i7-14700T:消費電力と発熱を軽減したタイプ。ただし性能も抑えられている。

つまり同じ世代の Core i7 でも、全部同じではありません。
種類が多いのでチェックするのは大変ですが、できれば型番も見ておきましょう。

型番の4桁目と5桁目の数字で、世代が解ります。
「Core i7-9700」なら第9世代で、「Core i7-13700」なら第13世代。

3桁目の数字は高いほど上位で、Core i5-13500 よりも Core i5-13600 の方が少し高性能で、高価格になります。


すでに述べているように、CPU にはデスクトップ用とノートパソコン用があります。
一例として、ノートパソコン(モバイル)用のCPUには以下のような種類があります。

Core i7-13700H:H は性能重視。高性能ですが消費電力と発熱が多いため、ノートパソコンだとバッテリーの消耗が早くなります。
Core i7-1355U:U は省電力型です。性能は控えめですが、消費電力と発熱が低く、バッテリーが長持ちします。
Core i7-1360P:P はノートパソコン用の標準型ですが、Core Ultra では使われていません。
Core i7-10510Y:Y は超低電力タイプ。主にタブレット用です。

ノートパソコンはバッテリーを長持ちさせ、発熱も少なくする必要があるため、消費電力を抑えており、代わりに性能は低めになっています。

基本的に性能は、タブレット < ノートパソコン < デスクトップ だと思って下さい。

デスクトップ > ノート > タブレット

例えば、ノートパソコンの Core i7 は、デスクトップの Core i5 ~ Core i3 ぐらいの性能になります。
モニター一体型のパソコンは、中身はノートパソコンと同等です。

ノートパソコン用なのにデスクトップ用に匹敵する高性能のCPUもありますが、大型の冷却機構が必要で、サイズが大きくなって重量も増加、音もうるさくてバッテリーも長持ちしないなど、デメリットが多くなります。


Core は Intel(インテル)という会社の CPU ですが、AMD という会社の CPU もあります。
AMD の主力CPUは Ryzen という名前です。

AMD Ryzen

Ryzen 7 は Core i7、Ryzen 5 は Core i5 と同クラスとなります。

AMD の製品には得手不得手があり、玄人向けと言えました。
しかし近年は性能と品質が向上しており、Ryzen を使用するパソコンも増えています。

しかし Ryzen には Zen3、Zen4、Zen5 と呼ばれる複数の設計(アーキテクチャ)があり、同じ時期のCPUなのに、使われている設計が異なっていたりします。
例えば新発売なのに、中身が古い Zen3 で性能は低い、といったことがあり得ます。

しかもそれを型番で判別しなければならない、おまけに型番がわかり辛いという、初心者には難しい点があります。

このため、やはり Core と比べると玄人向けであることは否めません。

初心者が Ryzen を搭載するパソコンを買うのなら、パーツに詳しい知人や、信頼のおけるお店のサポートが欲しいところです。


CPU の用語については こちらのページ で解説しています。
より詳しい説明や、種類の一覧なども掲載しています。

CPUの性能一覧グラフは こちら を。

これから発売されるCPUの予定(ロードマップ)は こちらのページ に移転させました。

メモリなど、他のパーツについては カスタマイズについて のページをご覧ください。