各パソコンメーカーの評価を簡潔にまとめたものは こちら のページをご覧ください。

ここでは「どうしてオススメなのか」「どんなメーカーなのか」について、もっと突っ込んだ話をしています。
また、「どうしてあのメーカーがないの?」と聞かれることがあったので、表のページで取り上げていないメーカーもリストアップし、名前がない理由をぶっちゃけています。
ただし、筆者の主観も入っていますので、与太話程度で聞いてください。

スマホでの読みやすさなどは考慮していないので、長いです。悪しからず。

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各メーカーの評価・解説は公平に(と言うか ぶっちゃけで)行っております。

マウスコンピューター

当サイトではトップで紹介しているオススメのメーカー。
結局のところ、メーカーは大手であるほど品質管理や流通体制、サポート体制が整っている。
資金と人員が多いほど開発力が高く、パーツも大量購入できる。
しかしNECや富士通のような総合電機メーカーになると、むしろ価格は高騰してしまう。

マウスコンピューターは日本の専門PCメーカーとして最大手クラスに成長した一方で、BTOメーカーのコストパフォーマンスの良さも維持しているため、総合的に見てイチオシであることは間違いない。

最初は秋葉原の小さなパソコン屋だったが、ゲーミングPC(G-Tune)に早期に力を入れて人気となり、さらに秋葉原らしいこだわりの開発で抜きん出た存在となった。
そしてモニターの開発を行っていた iiyama を買収し、長野県飯山市の工場を手に入れて規模を拡大、今はテレビCMも積極的に行って知名度も上昇している。

最近はアイドルやDXなマツコさんのCMの影響もあって、大衆向けのメーカーに変わってきている印象がある。
品質管理を重視しているため、発送は速い方ではないが、その分しっかりした製品チェックが行われている。

BTO(カスタマイズ)PCとしては選択できるパーツが少なめだが、これもしっかりした相性チェックとトラブル回避のためのようだ。
昔、電源の故障で叩かれたことがあったらしく、特に電源周りの品質には気を配っている。
デスクトップPCは拡張性よりデザインを重視している印象で、近年は特にその傾向が強い。

価格と品ぞろえ、国産であることを考えても、初心者向けのサイトとしてオススメ第一だ。

ドスパラ

国内最大級のBTOメーカー。よって前述した「大手ほど諸々整っている」「大手の信頼性とBTOメーカーのコスパが両立されている」という点でオススメのメーカー。
運営会社名はサードウェーブで、パソコンショップの名前がドスパラ。
PCショップを全国展開していき、オリジナルブランドのパソコンも販売、それが規模を拡大して現在のような大手メーカーとなった。
神奈川県の綾瀬市に工場を持つ。

ショップ運営を通してつちかった独自のパーツ仕入れルートを持っており、BTOパソコンに特に強く、新パーツの導入は最速クラス。
かつてはベアボーンキット(組み立て前のPC)なども売っていて、自作を応援していた。自作が下火となった今でも、その特徴は残っている。
BTO(カスタマイズ)と最新パーツに強かった影響でゲーミングPC(ガレリア)で人気となり、今でもデスクトップパソコンでは最初に名前が挙がるメーカーだろう。

デザイン面では無骨な印象があるが、PCパーツショップらしく拡張性を重視した作りになっているので、購入後に色々と手を入れたい人に向いている。
また、近くにショップがあれば、そちらでサポートを受けられる利点もある。
ノートパソコンも開発しており、コストパフォーマンスに優れた製品が多いが、デスクトップと比べると苦戦気味。
マウスコンピューターとの差別化もあるのか、早期発送には力を入れている。

品質管理やサポートが悪い、初期不良が多いといった話が散見されるが、昔の悪評を引きずっているようで、今は電源やストレージに良いものを使って気を配っている。
そもそもマウスやドスパラのような大手は購入者が多いため、そのぶん批判も出やすいというのがある。
気にしていたのか、2020年にサポートセンターを拡張し、品質管理や電話対応を改善した。

価格・品ぞろえ・規模・国産と、ここも四拍子そろっているメーカーだ。

パソコン工房

正確にはパソコン工房は「ユニットコム」という企業が運営するショップ名だ。
ユニットコム全体の規模は(電機メーカーを除くと)最大手クラスだが、現在はマウスコンピューターと合併し、その子会社となっている。ただし運営は個別に行われている。

フェイス、ツートップ、グッドウィル、その他もろもろの中小パソコンメーカーが合併やら吸収やらを繰り返しながら大きくなった合体モンスターなところで、結果的にPCメーカー最大の店舗ネットワークを持つに至った。
本拠地は西の電気街である大阪浪速日本橋。ただ、グッドウィルは名古屋の中心的PCショップだったので、今でも東海三県だけはグッドウィルを併記している。

マウスコンピューターと合併後、マウスの飯山工場をパソコン工房も使うことになり、iiyama ブランドでのPC販売も行っていて、国産をアピールしている。
全国に店舗があるため、修理業務や中古再生パソコンの販売でも大手。
また、高齢者向けの株取引パソコンを設置サービス込みで売るなど、店舗を利用した販売戦略を行っている。

新技術への対応が速く、新パーツのパソコンもいち早く出すのだが、良くも悪くもオーソドックスな印象。
拡張しやすくコストパフォーマンスの良いパソコンを作っているが、特長に乏しい。
以前は個性的なケースの開発も進めていたが、あまり売れなかったようだ。
構成に対する価格のみを重視している人には好まれる。

プロからのフィードバックを得ることに注力していたが、それが今風に変化、最近は YouTuber や eスポーツチームとのコラボが多く、そうしたモデルに限っては装飾性も高い。

個人的に、近所のショップで色々聞いてパソコンの知識を学んだという経験があり、全国に店舗があるメーカーのため、初心者にも勧めやすい。
ただ、店にもよると思うが、ドスパラの店舗よりマニアックな感がある。

NEC

かつて「国民機」と言われたPC-98シリーズを作っていた、言うまでもない有名電機メーカー。パソコンの工場は山形県の米沢市にある。

良くも悪くも日本的、懇切丁寧で初心者にもわかりやすいパソコンとマニュアルを作るが、性能に対して割高で、悪く言うと「情弱ビジネス」をしている感もある。
しかしボタンが目に付くところにあったり、急に電源を切っても壊れにくいようにしていたり、パソコンで何すればいいのか解らない人向けのガイドがあったり、初心者向けの日本的な配慮がたくさんある。
企業向けのサポートも厚いので、特にIT知識の低い企業に重宝されている。

誰でも使えるマシンを作ると、とんでもない使い方をする人が出てきて大変なことになるというサポートの常識があるので、それを一手に引き受けているNECは大変だろうなぁと感じる。

800g台の軽量ノートPCを最初に作ったところで、軽量ノートの開発に力を入れていたが、世界最軽量の座は富士通に奪われた。
テレビ兼用のモニター一体型PCが人気だったが、ネット動画の時代になって下火となり、昨今は得意分野が薄れている感がある。

あえて旧型のCPUを使うなど、最新性能を重視しない傾向があり、それでいて価格は高いので、費用対性能は悪い。
2022年にゲーミングPCの販売を開始したが、価格・構成・コンセプトなど突っ込みどころ満載で、不慣れな感が否めなかった。

レノボの傘下になったので、中国だ!共産党だ!とネットで過剰に叩く人もいるが、傘下になったからと言って社員全員が共産党員に変わるわけではない。
部材の共有ができ、レノボPCを日本向けにカスタマイズして売ることができたりと、メリットも大きいようだ。
レノボ側も、日本で販売する製品のサポートをNECに任せることで評判が高まった。

なお、アップデートやセキュリティの更新はレノボ製品でもNEC側で行われており、そのためアップデートが遅い反面、レノボPCに潜んでいたスパイ的なソフトウェアがNECを通したものにはなかったりした。 私的には、中の人がレノボを信用しきっていない印象もある。

富士通

パソコンメーカーと言うよりオフィス機器の総合電機メーカー。世界的な企業のひとつで、主要なPC工場はデスクトップは福島、ノートは島根にある。
ユーザーに高齢者の男性が多く、そのため高齢者サポートを重視しているが、何とか若手にも目を向けて欲しいと思っているようで、しかしイメージを壊せず苦労しているようだ。

お堅いイメージを持っている人が多いが、電子ペーパーや有機EL、ウェアラブル端末などの新技術が大好きで、変わった製品を作る会社でもあり、たまにヘンなものを出してコケたりする。
VRパソコンとかも売っていたが、もっぱらエロに使われていた模様。

600g台の世界最軽量パソコンを作ってNECとの軽量化争いに勝利、高い技術力でムチャを実現させている。
ただし日本の電機メーカーなので、性能に対して価格は高い。
また、近年は最軽量ノート以外、最新性能や新技術の製品が見られなくなっている。

初心者・高齢者向けのガイドや機能、サービスを充実させているが、過剰な感があり、NECや dynabook がそうしたものを少し目立たなくさせつつあるのに対し、富士通は今でも前面に押し出してくる。
このため特に上級者に嫌われていて、「富士通PCを買う人は情弱」と言われることもある。
近頃はAIサポート機能(ふくまろ)を押しているが、便利かと言われると微妙。

国内電機メーカーとしては、一般ノートで dynabook ほどじゃなく、ビジネスノートでパナソニックほどじゃなく、サポートで NEC ほどじゃない、中途半端な感もあるのだが、そのぶん扱っている分野が広く、日本のビジネスPC分野では常に上位だ。

なお、富士通もNECと同じくレノボの傘下になったため、ネットで中共だ!と言われることがあり、そのためか「日本のメーカー」というアピールを妙にするようになった印象がある。
今のところ、NECと違ってレノボ関連製品を扱ったりはしておらず、売上や販売台数もNECとレノボが合算されているのに対し、富士通は別枠となっている。

Dynabook

東芝のパソコンだったのに台湾のメーカー(ホンハイ)に買収されたシャープに買収され、中華企業の孫会社になった!とネットで叩かれていたところ。
東芝本体も散々な状態で、展示会で社員の人も「私どうなるんでしょう?」とか言われていたのだが、パソコン自体に大きく変わった印象はない。

ビジネスモデルが中心で、小型のノートパソコンと 2in1 に注力していたが、近年は家庭向けの16型ノートなども出すようになった。
ちなみに、昔はむしろ大型ノートPCを主力としていた。

薄型軽量ノート、いわゆる「ウルトラブック」の要求を満たす製品を最初に開発したところで、以後、薄型軽量PCの分野をけん引していた。
デザインや画質にもこだわっていて、かつては Windows で Mac 的なパソコンが欲しいならダイナブックの高級モデルをと言われており、今でもその面影は残っている。
ただ、買収前は他のメーカーに押され、ずっと赤字が続いていた。

基本的に高品質で、サポートが厚いので初心者にもオススメできるメーカーのひとつ。
割高だが長く使えると評判で、データの引っ越しソフトや消去ソフトが備わっているためか、中古市場での取引が多く、売買価格も高め。
コロナ禍以後に抗菌ノートPCを開発するなど、日本の事情に合わせた製品作りが続いている。

信頼性と静音性を重視しているため、パーツのTDP(投入電力)が低いなど、実働性能で劣っている傾向も見られる。
ただ、近年は冷却システムを強化、それに伴ってパワーも出すようになりつつある。

国内電機メーカーの中では最新パーツの導入に積極的で、特殊素材や軽量化、高耐久といった、形成技術についても以前から最先端。 ただし、そのぶん割高。

サポートは今でも東芝系列で行われているが、生産工場は中国の杭州にある。
台湾やベトナム、アメリカに移される計画もあったが、移転が進んでいるという話は、とんと聞かない。

パナソニック(レッツノート)

ビジネス用ノートパソコンの最高峰を目指しているところ。生産工場は神戸。
家庭向けとかゲーミングとか、そんなものには目もくれず、ひたすらビジネスで使うためのセキュリティ、信頼性、高耐久、長時間駆動などに注力している。
よって企業で導入する場合に選択されるケースが多い。
実際、壊れにくさには定評がある。

ただし、すごく高い。ほんとうに高い。
このスペックでこの値段で売れるのか? と思うほどに高いのにみんな買っているので、あぁ、世の中の人ってスペック見ないんだな、としみじみ思う。
部品や画面が高級品だから、細部までこだわった設計をしているから、などが理由とされたりするが、どうにも割高感が否めない。

しかし大手企業や金融業などで使うとなるとセキュリティ・サポート・管理が優先されるため、そこだけに注力するのも正解なのだろう。高スペックすぎると遊びに使われるだろうし。

個人的には、平成初期から変わらないデザインがダサいと思うのだがどうなのだろうか。
タッチパッドが丸いのが大きな特徴だが、もはやレトロ感がある。
ただ、法人サポートさえしっかりしていれば、企業はデザインなど気にしないのだろう。

VAIO

ソニーのパソコンだったが、当初のVAIOはデザインと機能優先で耐久性に難があり、Windows を独自に改造していたため不安定になりやすく、アップデートも遅くて信頼性も低かった。
そのためソニータイマー(ソニー製品に入っている一定時間で必ず壊れるようにするタイマー。もちろん事実ではない都市伝説)があると揶揄されていたりした。

結局、マウスコンピューターやドスパラなどの専門メーカー勢、HPやDELLなどの海外勢に押されてVAIOは売却されてしまうのだが、VAIO株式会社として独立、さらに紆余曲折を経て、ビジネス向けのノートパソコンとして生まれ変わったのが今のVAIOである。

パナソニックのレッツノートのような高級ビジネスノートを目指しているとのことだが、薄型軽量で見た目はかなり違い、こちらの方が今風で、個人もターゲットにしている。
耐久性とセキュリティを重視しており、耐久試験の強度は国内最高レベルのものを実施。
壊れにくいことをアピールするためか、VAIO株式会社で直販しているものは落下などの自損事故も無料で修理する保証を用意している。
この辺は、かつてのソニータイマー搭載VAIOのイメージを払しょくしたい思いがあるようだ。

レッツノートほどではないが、価格はかなり割高。
ユーザーはかつてVAIOを使っていた高齢者が多いようで、そこをターゲットにした高級感を重視した製品になっており、機能も豊富、実際にしっかり作られているのは感じることができる。
学生へのアピールも行っていて、安価な構成も用意されているが、安いとスペックはそれなり。
工場は長野県の安曇野市で、ソニーがバックにあるが、規模は大きい方ではない。

日本HP

世界三大PCメーカーのひとつ「HP」の日本支社。言うまでもなく超大手。

ヒューレットパッカードの略だが、分社化されてサーバー運営などを行う会社が「ヒューレット パッカード エンタープライズ」となり、日本でパソコン販売を行うのは「日本HP」になった。
外資系の企業だが日本向けのパソコンは東京の日野工場で生産されており、MADE IN TOKYO と書かれたシールが貼ってあったりする。

以前は企業向けのビジネスモデルが中心だったが、個人向けに力を入れ始め、パソコンをバッグや時計のような嗜好品として考えた、デザインと高級感を重視した製品開発を始めた。
これが当たってシェアが急拡大し、今はどの分野の製品もデザインを重視している。

また、世界トップクラスの技術力で何でも作るところで、大型から小型、軽量から 2in1 まで、品ぞろえの多さは間違いなくトップ。
価格帯も幅広く、安くてコストパフォーマンスの良い製品も多い。
ただし全体的にコンパクトに作られているため、デスクトップの拡張性は高くない。

プリンターやモニターなどの周辺機器でも大手で、ゲーミングも後発ながら力を入れている。
急速充電、Wアンテナ通信など、独自の技術も豊富。

先端技術をどんどん盛り込んでくるが、開発と販売はまずアメリカで行われ、その中から日本で売るものを選んで準備する形なので、日本は新モデルの登場は遅い。
特に2023年は最新CPUの搭載で大幅に出遅れてしまい、大企業ならではのフットワークの鈍さも感じた。
2024年はそのリベンジなのか、以前よりは新製品の登場が速い模様。

アメリカのメーカーのため、キーやボタンの配置などが日本とは異なっている場合がある。
また、欧米メーカー全体の特徴として、やたらリサイクル素材にこだわる。

DELL

世界三大PCメーカーのひとつでアメリカが本社。もちろん超大手。

DELLといえば以前は安さで、3万円から4万円、セールで1万円台もあったりした安価なビジネスモデルで評判になっていたが、あまりに安すぎるモデルは最近は鳴りを潜めている。
安い法人向け製品は今でも強いが、上位モデルは作りが良くなった反面、むしろ割高になっているので、以前ほど安いメーカーと言うイメージはなくなった。

デザインや高級感よりも使い勝手を重視しており、その点でHPと差別化されているが、デザインもそんなに悪いわけじゃない。
また、早期発送をウリにしていて、人気製品は即納モデルを用意している。
周辺機器でも強く、モニターの販売数は世界トップ。

以前は発送の早さを重視するあまり、カスタマイズできないものがほとんどだったが、2023年から方針が変わったようで、今はデスクトップはもちろん、ノートでもCPU、メモリ、ストレージなどを選択できるようになった。

一方、アメリカのゲーミングPCメーカーを買収して自社ブランド化した「エイリアンウェア」はデカくて重くて光るアメリカンPCだ。
最高性能とゲーミング的な使い勝手の向上を目指しており、ゲーミングPCのシェアで世界トップだが、大型のため日本の住宅事情には適していない部分もある。

モデルチェンジによって形も構造も様変わりするのが特徴で、大きくなったり小さくなったり、丸くなったり四角くなったりしているが、基本的にデカくて重くて派手。
その中二的宇宙的デザインは賛否が分かれるだろう。そして価格はめちゃ高い。

新パーツの導入は以前は早くなかったが、2023年から最新CPUを搭載したノートPCを世界最速で投入するようになっており、2024年もその傾向が続いている。

日本向けの製品は中国で作られており、有料保証なら日本のサポートセンターで対応してくれるが、無料保証だと中国経由になることがある。
マニュアルも簡素なため、初心者には勧め辛い面がある。
定価とWEBでの実売価格の差が大きく、かなり変動するので注意。

レノボ

中国のパソコンメーカー。世界三大PCメーカーのひとつで、世界シェアはNo.1。
人口最多の中国をほぼ押さえているから、というのもあるのだが、中国以外でも最大手クラス。

アメリカの会社「IBM」のパソコン販売事業を買収して成長したメーカーで、IBMのパソコン(ThinkPad)のコンセプトであった「ビジネスで要求される高い耐久性と信頼性の追求」をそのまま引き継いでいる。
また、IBM時代からのファンを失望させないよう、定評のあったキーボードの品質や、キーボードの中央にあるトラックポイント(赤ポチ)を維持するよう努めている。

しかし2014年、レノボ製品に Superfish と呼ばれる、不正通信を行ったりセキュリティホールの要因となったりするスパイウェアが入っていることが発覚。
(広告表示用だったが防御システムを騙す手法が用いられており、悪用されると危険だった)
その前年にオーストラリアがレノボ製品にはバックドア(不正な裏口)があると発表していたこと、2015年にも無断でデータ送信を行っていたことが発覚し(レノボは開発のためのデータ収集と釈明)、急速に信用を失った。

そのため、アメリカや台湾など、いくつかの政府機関ではレノボ製品は使用禁止となっている。
ただ、レノボのパソコンは世界的に販売されており、ファーウェイのように締め出されるほどの制裁も受けていないため、個人や一般企業が過剰に警戒する必要はないだろう。

ずっとIBMの方針を愚直に受け継いできたので、デザインと個人向け製品については微妙だったのだが、近年スタイリッシュな個人向けノート Yoga Book を発売して大ヒット、以後はデザインに優れたモデルも出すようになって、イメージが変わってきている。
その影響もあり、製品によって見た目やコンセプトがえらく違う。

ゲーミングモデルの開発も行っているが、ずっとやる気を感じなかった。
2022年から急に注力し始めたが、まだ経験不足な印象で、おひざ元の中国でも Dell のエイリアンウェアに負けている。

安価な製品が多いが、最近は品質や機能を追及している分、上位機の価格が高くなっており、Dell 同様、以前ほど安いメーカーと言う印象がなくなってきている。
2015年以降、日本向けの ThinkPad の一部は山形県の米沢工場で作るようになった。

ASUS(エイスース)

台湾のメーカーでPCパーツで有名なところ。パソコンの販売では、家電量販店でも売られているノートパソコン Vivobook や ZenBook で知られている。
以前は社名を「好きに読んでね!」と言っていたのだが、日本の法改正で読みを決めなくてはならなくなり、エイスースが正式名になった。

量販店向けの安くて標準的なノートパソコンを主力とする一方で、多画面のノートパソコンや、軽いゲーミングノート、ゲーミング仕様の 2in1 など、他社ではマネできない、むしろマネしようとも思わないような尖った超高機能機を出している。

さらに2023年以降、OLED(有機ELディスプレイ)を搭載するノートパソコンを次々と発売、OLED搭載機ではトップメーカーとなった。
また、自社で多くのパーツを用意できるためか、性能や機能に対して価格が割安で、コストパフォーマンスに優れる。
デザインも重視しており、耐久性が高い製品も多い。

ASUSは自前のPC販売の歴史が浅かったため、サポート体制は乏しく、赤坂にあった唯一の直営店も2020年に閉店、一時は日本撤退もささやかれた。
しかしその後、千葉にサポートセンターを設立し、保証やサービスを拡大。
量販店の中に直営コーナーを設ける形で店舗販売も広げている。
電話対応は中国のコールセンターのみで受けていたが、現在は日本との振り分けとなり、規模を拡大した。

カスタマイズには未対応で、特にゲーミングPCでカスタマイズできないのは大きな欠点。
PCパーツの大手なのでハードウェア面の信頼性は高いが、付属のソフトウェアや高機能を活用するのに、それなりのPC知識が要求されることもある。
周辺機器やゲーミング Android スマホなども販売している。

マイクロソフト(Surface)

Windows の開発会社として知られているが、モニターとキーボードが分離し、モニター側をタブレットとして使える 2in1 パソコン Surface(サーフェス)を開発してPC販売に参入した。

Windows のメーカーらしく、ライバルを Mac に位置付けているようで、軽くて小さく使い勝手は良いが、価格も Mac 並みに高く、専用の周辺機器も高額。
布素材のキーボードなど、オシャレで意識が高い感じがするのも Mac 的だ。

タブレットにもなるタイプはしょせんタブレットなので、ノートパソコンのような使い方も可能だが、性能はそれなり。
そのため分離しないタイプの製品も増えてきたが、個人的には 2in1 じゃないとサーフェスらしくない気がする。
Windows タブレットが必要ならサーフェスが第一候補になるだろう。

Windows や Office を開発している会社のパソコンなので、これらのソフトウェアへの最適化が行われているのがウリ。

サポートは Windows 製品全般の問い合わせを通さないといけないので、面倒なうえに電話が繋がりにくく、ユーザーの評価は最低。
そのため60日の返品無料と、90日のテクニカルサポート無料を実施し始めた。
アメリカーのメーカーなので電源ボタンの配置など、細かいところで日本との差異が見られる。

Apple

iPhone の開発元としておなじみのメーカー。
Windows とは異なるシステム(macOS)で動くパソコン Mac(マック)を販売している。
意識高い系の人々がスタバの窓際の席で、これ見よがしに外にリンゴマークを見せつけながら開いているアレ。
スタバで Mac でないパソコンを開くと身の危険を感じるためか、ドトールなど他のカフェでは Windows 使用率が高い。

Windows 用のソフトウェアや機器が使えないため、多くの職場で不便、大学でも必要なソフトが動かなくて困ることが多く、PCゲームも大半はプレイすることができない。
よって出来るのはネットを見たり、簡単な書類を作成するといった基本的な機能で行えることと、SNSやメール等をやりとりするといった、スマホの延長のようなことのみ。
ただ、それらに限定するのであれば iPhone & iPad と連携しやすくて扱いやすい。

価格は高く、専用の機器も高額で、周辺機器は Mac 対応に注意しなければならない。
全国に専門ショップがあってサポート体制は厚いが、修理はかなり高い。
デザインとブランドイメージが良く、オシャレアピールできるので、その長所と短所を熟知し、自力で対処できるなら、良いというか、止めはしない。

ハード的には、近年のノートパソコンは省電力化&低発熱化を重視しており、送風機がなく無音で動作するファンレス機が中心。
ノート以外のパソコンは創作業務に特化した性能を持ち、一般向けではない。

Mac は音楽業界や映像業界など、クリエイター関連の人々にとっては御用達だった。今でもその分野においては Mac 専門のソフトウェアが存在する。
ただ、モデルチェンジが遅いため2000年代の急速なグラフィック進化に対応できず、映像関連の人から Windows PC を併用するようになった。
iPhone のヒットでその流れを幾分か引き戻したが、肝心のデザインがゴミ箱やおろし金みたいになって、評価は微妙に。
ノートパソコンも他社のデザインが Mac に寄ったため、Mac ならではというのはなくなった。

デザインについては、2010年代後期にデザイナーが大量流失したようだ。
HPやDell、レノボがデザインセンターを設立し、元Appleのデザイナーを大量雇用したようで、実際にこれらのメーカーのデザインセンスが良くなる一方で、Macは独創性を出そうとし過ぎてナナメ上になった感がある。
それでも Mac は熱狂的なファンに支えられており、ここに書いたようなことを大っぴらに言うとフルボッコにされるので注意されたし。

表ページで紹介していないメーカー

フロンティア(FRONTIER)

元々はフロンティア神代という山口県のメーカー。
BTOパソコンの先駆けとも言われるメーカーで、かつては私もお世話になっていたのだが……
事実上倒産し、名前だけが秋葉原のPCショップに引き継がれたり、ヤマダ電機の子会社になるなどして二転三転。
結果としてヤマダ電機の下でパソコンを扱うインバースネットという会社に、ブランドだけ使われているのが現在のフロンティアだ。

BTOの古参と紹介される場合もあるが、このような経緯のため、もはや初期の面影はなく、むしろ神代でないフロンティアは後発メーカーと言える。
個人的にはかつてのファンとして、経歴とブランドだけを利用されている印象が強く、オススメとはしていない。私的にはちょっと悲しい。

とは言え、ヤマダ電機でサポートを受けることができるし、BTOメーカーの中では最安クラス。
製品の特徴に乏しいが、成り立ちとか気にしない方には悪くないかもしれない。
ただし、規模はマウスやドスパラなどと比べると小さい。

ツクモ(TSUKUMO、九十九電機)

元々は秋葉原の最大手クラスのパソコンショップだった。
しかし社長の事業拡大が失敗して多額の負債を背負い、パソコン販売自体は好調だったにも関わらず2008年に倒産。
約1年後、ヤマダ電機の支援によって再生されたが、規模は大幅に縮小された。

その後、数年がかりで徐々に体制を取り戻し、店舗も再開していたが、2021年、とうとうヤマダ電機に完全に併合されている。
ウェブサイトや店舗ではツクモがまだ独立しているように見えるが、中身は完全にヤマダ電機のPC部門である。

別にヤマダ電機が悪いわけではなく、ゲーミングモデルにおいては再生後も定評があり、PCショップだった頃と同じようにパーツの販売も行っている。
大都市には直営店とサポートセンターがあり、各地のヤマダ電機でも修理の受付をしてくれる。
とは言え、もうツクモではないよな…… というのも本音である。

サイコム(@Sycom)

老舗のパソコンメーカーだが、すごくマニアックなところで、玄人のパソコン好きが集まる埼玉県の町工場メーカーみたいな印象。
BTOデスクトップのみでノートPCはないが、独自発注の冷却パーツを使った水冷モデルなどを用意している。
マザーボードも入れ替えられる自由度の高いフルカスタマイズがウリで、選べるパーツはかなり豊富だが、十分な知識が必要で、上級者でないと手に負えない感もある。

当方は一応、初心者向けのサイト運営をしているので、上級者向け過ぎて表のリストには含めていない。
しかしPCパーツに詳しい方で、他のメーカーで思うようなカスタマイズができないという場合は、チェックしてみると良いだろう。

BTOメーカーとしては中堅だが、マウスやドスパラに水をあけられた感もある。
発送はやや遅く、サポートも規模的にあまり期待しない方が良い…… というか、多少のトラブルは自力でなんとかできる人向けだ。
しかしこのようなメーカーのため、上級者からの評判は良い。

ストーム(STORM)

かなり昔からあるが、目立った拡大がなく、ずっと小規模のまま運営されているBTOメーカー。
運営はアイティーシーという商社で、工場は茨城県の片田舎。
中が見えるケースを多用し、LEDによる装飾が備わった製品が多い。
BTOデスクトップのみでノートPCはない。

古株だが規模が大きくないのでサポートはそれなりと思われ、初心者には勧め辛い。
しかし見た目の美しい製品が多く、そうしたものをカスタマイズで注文したい人には良い。
ただ、電飾があるぶん、価格はちょっと高めになっている。
多少のトラブルは自力で何とかできる人で、茨城県に住んでいたり、光り輝くゲーミングマシンが欲しい人には向いている。

アーク(ark)

小規模ながら生き残っている秋葉原のPCショップ。
フェイスやグッドウィル、TWO TOPなどと同じユニットコムの傘下となったお店のひとつ。
ただ、他のショップがほぼブランド名だけの存在になっているのに対し、アークはまだ秋葉原の店舗で営業を続けている。

市販パーツのBTOパソコン中心でカスタマイズ性は高い。
製品と言うより、かつてショップブランドと呼ばれた自作に近いパソコンだが、それゆえに他社では選べないパーツも選択できる。
海外メーカー(MSI、GIGABYTE、Razer 等)のノートPCも販売しており、メモリやストレージぐらいなら増設して貰える。

ユニットコム傘下なので、ボスがパソコン工房で、大ボスがマウスコンピューターと言える。
ショップとしては大きいのでサポート等はそこいらのお店よりは良さそうだが、初心者には普通にマウスコンピューターやパソコン工房を勧めた方が良いかな、とも思う。

しかし東京近郊で町ショップを応援したい人や、自由なカスタマイズがしたい人、輸入ノートPCが欲しい人には良い。

VSPEC

2000年に創業した老舗のメーカーだが、サイトがなんというか、ウェブサイトというより初期のホームページ。
20年前からほとんど変わっていない気がする。
ウィズテックという会社が運営している市販パーツのBTOメーカーでノートPCはない。

一時は仮想通貨のマイニングPCに力を入れていたが、それが下火になった現在はFX・株取引パソコンに力を入れている。
扱っている製品的にあまり一般向けでない印象で、雰囲気からして「そっち系」。
小規模なので、サポート等で過剰な期待はしない方が良いが、新パーツをすぐ試してラインナップに加えるといった身軽さは見られる。

SEVEN

ここも経歴だけは長いが、ずっと小規模のまま運営されているところ。
メーカーと言うよりセブンアールジャパンという東京の商社の一部署で、現在は秋葉原のビルの一角で生産を行っている。
市販パーツのBTOデスクトップのみでノートPCはない。

フルカスタマイズをウリとしており、ケースやマザーボードの選択から行うことが可能で、選べるパーツはかなり豊富。
ただし豊富すぎて可能な組み合わせがわかり辛く、情報量で圧倒されるため、完全に上級者向けである。
電源出力が足りない構成や、動かない構成でも発注できてしまうので、それらを理解できていないと扱えない。

よって人を選ぶが、他のメーカーでは好みの組み合わせにできない、欲しいパーツが選べない、あえて完成前の状態で欲しい、といったBTO上級者はチェックしてみると良い。


マニアな人は中小メーカーをよく勧めますが、初心者は無難に大手を選ぶのをお勧めします。

大手ほど製品のチェックやパーツの相性確認をしっかり行っており、電源などの故障原因になりやすいパーツは製造メーカーに特注品にして貰っているか、自前で設計しているので、耐久性に勝ります。

逆に小さなストアのBTOだと市販パーツの組立品なので、信頼性は自作と大差ありません。
サポートセンターやコールセンターなどもありません。

自前のノートパソコンを作っているところは、それを可能にする技術力と開発規模があることの目安となります。
そうしたところはデスクトップパソコンもパーツに合わせて形状を調整したり、サポート部品を追加したりできるので、構造に無理がありません。

ただ、大手の電機メーカーや世界規模のメーカーはフットワークが重く、モデルチェンジや最新パーツの導入は遅くなる傾向があります。

各メーカーの評価は長年の動向チェック、実機の検証、発表会などへの参加の他に、近況や方針について展示会などで直接伺ったりして行っています。