- 2022年春よりドスパラで販売されているデスクトップ型ゲーミングパソコン
- 第12世代の Core i7 + GeForce 3060Ti という最新にして人気の構成
- ハイスペックとコストパフォーマンスを両立、拡張性も高い
こんな人にオススメ!
- 最新のゲームを快適に遊べるパソコンが欲しい方
- 第12世代 Core の高い処理能力を実体験したい方
- どうせ買うなら最新 CPU 搭載機でしょ! という人
レビューは公正に、忖度なく行っております。
Alder Lake の実力をチェック
2022年のパソコンの主役となる CPU は、第12世代 Core こと「Alder Lake」だろう。
ライバルの AMD Radeon に追いつかれていた Intel Core だが、この第12世代 Core で再び引き離しにかかった。
メインとなる「Pコア」と、性能は低めだが電力効率の良い「Eコア」を組み合わせた複合構成で話題になっているが、Pコアの性能自体もかなり高まっている。
今回取り上げる「GALLERIA XA7C-R36T 第12世代Core搭載」は、そんな第12世代 Core をさっそく取り入れたドスパラで販売されているゲーミングモデルだ。
搭載する CPU は
最新ではあるがミドルハイ(中の上)といったところ。
その分、コストパフォーマンスは高く、価格は(3月時点で)税込244,979円。
安くはないが第12世代 Core であることと、昨今の半導体不足&情勢不安を考慮すると割安だ。
なにより、この構成をいま選べるところにパーツショップを母体とするドスパラの強みを感じられる。
以下、そのレビューをお伝えしていきたい。
ケースと外観
デザインと接続端子
サードウェーブ(ドスパラ)のゲーミング デスクトップパソコン GALLERIA(ガレリア) には、背がやや低いRシリーズと、背の高いX・Z・Uシリーズがある。
本機は大型のXシリーズで、名称の「XA7C」は「Xシリーズのデスクトップ(ATX)で Core i7 搭載機」であることを意味している。
つや消しブラックとガンメタリックの配色で、たくさんの排気穴が並んでいるのが特徴だ。
工業製品のような重量感のあるデザインだが、電源を付けると灯るゲート型 LED ライトが無骨さを和らげている。
メタル&ブラックなガレリアのケース
天井にも排気穴が並んでいる
電源ONでゲート型LEDが灯る
派手すぎないライトアップが良い
電源やUSB端子はケース上部にナナメ上向きで配置されている。
背が高く(48cm)重量もあるため(約14kg)、床置きに向いたデザインと言えるだろう。
奥行きは44cm、幅は22cmで、他の同型のケースより幅があるが、そのおかげで大型のファンを付けられるようになっている。
また、標準ケースでものぞき窓があり、中を見られるのもガレリアの特徴だ。
USBは干渉しにくいよう縦向きで配置
側面ののぞき窓が地味に嬉しい
前面に4つもあるUSB端子はすべて最大速度5Gbps(Gen1)だ。
背面には1つのUSB-Cを含む、合計8つものUSB端子が用意されており、うち2つとUSB-Cは最大速度10Gbps(Gen2)となっている。
有線LAN端子は高速回線の 2.5Gbps に対応。
映像出力端子は HDMI が1つ、Display Port が3つ用意されている。
(端子の種類が解らない方は こちら を参考にして欲しい)
内部構造と冷却
第12世代 Core は発熱が大きいと言われているためか、前述したように大型のケースが使われている。
ガレリアのデスクトップケースはエアフロー(通気性)に優れ、前面と背面のケースファンに加え、天井にも排気ファンと排気口が用意されている。
さらにケースファン自体も14cmと大型で、高い送風力を持つ。
長時間、高負荷なゲームをプレイをしても安定動作するようになっており、複数の大型静音ファンで風量を保ちつつ回転数を抑えているため、このクラスの製品としては静音性も高い。
ただ、第12世代 Core と言っても本機に搭載されているものは Core i7-12700(無印)で、TDP(発熱と消費電力の目安)は標準的な 65W。
ビデオカードの GeForce RTX 3060Ti は高性能な分、TDP も 200W と大きいが、ハイクラス程ではないため、本機のエアフローやケースサイズはちょっと過剰なほどだ。
無論、冷却は良いに越したことはないが。
標準の CPU クーラーも大型で、いかにも冷えそうだが、良く冷えると評判の「虎徹 Mark II」に変えて貰うこともできる。
前面ファンの風が GeForce に直接当たる
CPUは上と後ろの2方向から排気
大型ケースなので中は広々
CPUクーラーは標準搭載のものでも大型
大型ケースの利点は、中のスペースが広いため通気性に優れ、大きなパーツを装着でき、拡張性も高いこと。
電源ユニットとそこから延びるコードは下部のカバー内に収納されており、他のコードもマザーボードの裏側に回しているため(裏面配線)、中はスッキリしている。
拡張スロットはビデオカード直下のものを除いても、空きの PCI Express x16 スロットが2本あり(Gen4 と Gen3)、ビデオカードの上部にも PCI Express x1 スロット(Gen3)が1本。
さらに空きの M.2 スロット(Gen4x4)が2つあって、パーツを増設できる人なら後から色々と付け足すことができそうだ。
なお、マザーボードは ASUS 社の PRIME H670-PLUS D4 が使われていた。
ビデオカードの下も広いので拡張スロットを物理干渉なく使うことができる
裏面配線の様子。コードはこちら側にまとめられている
電源ユニットは標準構成だと650W、80PLUS BRONZEの製品が使われる。
これで問題ないと思うが、電源には経年劣化があり、出力不足になると故障原因になる。
また、拡張性の高い本機に後からパーツを付け足したいと思っているなら、その分を加味した出力にしておきたい。
増設なしなら 750W、将来の拡張込みでも 850W なら余裕があるだろう。
80PLUS が GOLD や PLATINUM の製品なら省エネ性能も高い。
ドスパラは必要な電力量を計れる 電源電卓ページ を公開しているので、拡張を考えている人は参考にすると良いだろう。
パーツ性能
処理性能(CPU)
本機は第12世代 Core の CPU「
2022年になって発売された最新型で、俗に「 」と呼ばれているタイプ。
「S」はデスクトップパソコン向けを表す。
ちなみに、今(3月上旬)の時点でノートパソコン向けは登場していない。
「Pコア」と呼ばれる高性能コア8つと、「Eコア」と呼ばれる発熱の低い高効率コア4つを組み合わせた複合構成で、こうした構成はスマホ用の CPU に用いられているが、パソコン用にも導入されたことで話題となった。
「全部高性能な方が良いんじゃない?」という意見もあったが、低消費電力で低発熱なEコアに軽い作業を任せることでCPU温度に余裕ができ、全体のパフォーマンスが上がるとインテル社は主張している。
Pコアの性能自体も第11世代 Core よりパワーアップしていて、キャッシュ(データ置き場)なども増加、新機能への対応なども行われており、まさに新時代の製品だ。
ただし、第12世代 Core でも Core i5 以下は複合コアではない。
※Core i7-12700 の詳細データ
Pコアは2つの作業を同時に行えるハイパースレッディングという機能に対応しているが、Eコアは未対応のため、同時に行える作業数(スレッド)は 8x2+4 で 20。
「12コア20スレッド」の CPU だ。
共用キャッシュは 25MB で、第11世代の Core i7 や Core i9 は 16MB だったので、約1.5倍になっている。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフト CINEBENCH R23 の結果と、他のデスクトップ用 主流 CPU との比較グラフだ。
Core i7-12700 測定結果
測定中の CPU 温度(Core Temp)
・マルチコア性能(CINEBENCH R23、定格動作)
Core i9-12900K:25000
Core i7-12700K:21000
Ryzen 9 5900X:20500
Core i5-12600K:16500
Core i7-12700:15000
Ryzen 7 5800X:14500
Core i7-11700K:13500
Core i5-12400:11500
Ryzen 5 5600X:10500
Core i7-11700:9200
Core i3-12100:8500
Core i5-11400:8000
・シングルコア性能(CINEBENCH R23)
Core i9-12900K:2000
Core i7-12700K:1900
Core i5-12600K:1870
Core i7-12700:1850
Core i5-12400:1720
Core i3-12100:1650
Ryzen 9 5900X:1600
Ryzen 7 5800X:1580
Core i7-11700K:1550
Core i7-11700:1520
Ryzen 5 5600X:1520
Core i5-11400:1400
第11世代で大きく上がったシングルコア性能は、第12世代で再び大きくアップした。
今回の測定でも約1850と、さすが12世代と思える高性能を発揮している。
多くのソフトウェア、特にゲームはこのシングルコアの方が影響するため、Core i7-12700 はゲーミングPC向きとも言えるだろう。
マルチコアの測定値も約15000と、非常に高性能。
コアとスレッド数が増えてマルチコア測定で有利なこともあって、高いスコアを出している。
重い創作関連の作業も快適にこなすことができそうだ。
Core i7-12700 は TDP(発熱と電力)が 65W の標準モデルであるため、高性能・高出力で性能調整も可能な「K」の付いたモデルと比べるとマルチコア性能は控えめだが、スコアが2万を超えるような第12世代 Core でフルパワーを出そうとすると爆熱になり、水冷クーラーでないと焼け付くと評判なので、マニア向けの製品でないなら無印(Kなし)の方がベターだ。
マルチコアの評価は先日まで1万でも高性能だったので、65Wで15000なら十分素晴らしい。
また、CPUの温度に余裕があるため、ベンチマーク中でも動作音は静かだった。
グラフィック性能(GPU)
本機はビデオカード「
3060 は中クラスの製品だが「Ti」が付いたものは強化された後期型で、特に 3060Ti は 3060 との性能差が大きい。
どちらかと言うと GeForce RTX 3070 に近い能力を持つ。
その分、発熱と消費電力も 3070 に近いのだが。
以下はベンチマークソフト 3DMark:TimeSpy での性能測定結果だ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
3D Mark:Time Spy のグラフィックスコアは約11500。
(CPUも含めた)総合スコアは約11600だった。
他の現行のビデオカード(デスクトップ用)との性能比較は以下のようになる。
・3D Mark: TimeSpy(デスクトップ用)
GeForce RTX 3080(320W):17000
GeForce RTX 3070Ti(290W):14500
GeForce RTX 3070(220W):13500
GeForce RTX 3060Ti(200W):11500
GeForce RTX 3060(170W):8700
GeForce GTX 1660SUPER(125W):6000
GeForce GTX 1650(75W):3600
GeForce GTX 1050Ti(75W):2500
Iris Xe(CPU内蔵):1400
グラフの青棒は TDP(消費電力と発熱)の比率で低いほど良い。
見ての通り GeForce RTX 3070 と 3060Ti の電力効率が良く、性能の割に電力と発熱が低い。
加えて GeForce RTX 3060Ti は価格も割安なので、現在主流となっている製品だ。
VRAM(ビデオメモリ)も 3070 と同じだけ(8GB)積んでいる。
人気ゲーム「Apex Legends」は最高画質の設定で 180~220fps、平均 200fps で動作する。
「ファイナルファンタジー15」のベンチマークも高画質設定で「とても快適」の評価。
新作「モンスターハンターライズ」もグラフィック品質・高で 160~220fps、平均 190fps で動作した。
(解像度はすべて 1920x1080 で確認)
高負荷の新作ゲームを高画質・高速描画で、安定して遊べる性能を持つ。
リアルタイム・レイトレーシング(光の表現)などの新技術にも対応しており、今後数年先のゲームも問題なく動作するだろう。
もちろん 3D CAD(設計ソフト)や4K画質での動画視聴など、ゲーム以外のグラフィック性能を必要とする作業でも快適だ。
FF15 ベンチマーク 高画質測定
モンハンライズも高画質 160fps で安定
ストレージとメモリ(データ記録装置)
標準搭載のデータ記録装置(ストレージ)は 1TB の「 」となっている。
小型で高速のスティック型 SSD で、従来の SSD(SATA接続)より大幅に高速、昨今はこれが標準的なメインストレージとなっている。
そして本機のストレージの性能は、予想以上の結果となった。
ベンチマークソフト(Crystal Disk Mark)の測定結果は以下の通り。
標準設定で測定
NVMe SSD 設定で測定
読み込み(1段目の左)は約3400MB/s、書き込み(1段目の右)は約3000MB/s。
これもかなり良い数値だが、驚くのはランダムアクセス(3段目)の方だ。
読み書きともに1000MB/sを記録、同時処理ありの測定だと読み書きとも3000MB/sに迫る数値が出ている。
もはやシーケンシャル速度とランダムアクセス速度に差がない。
第12世代 Core は第4世代 PCIe、さらにまだ普及していない第5世代 PCIe にも対応しているが、 検証機に搭載されていたのは第3世代 PCIe の SSD で、新型という訳ではない。
使われていたのは PHISON 社の PS5012-E12S という製品だが、調べてみても過去の測定でそこまで高い数値が出た例はなかった。
よってこれは、第12世代 Core の CPU かマザーボードの PCIe コントローラーによる影響ではないかと思われる。
第12世代 Core 搭載機のデータが少ないので確かなことは言えないが、本機の NVMe SSD は第3世代の PCIe でも、従来の第4世代 PCIe 対応の高価格製品に匹敵する程のランダムアクセス速度を誇る。
ゲームや普段の使用時に影響しやすいのはランダムアクセスの方なので、この性能は嬉しい。
なお、カスタマイズ(BTO)で第4世代 PCIe(Gen4)対応の NVMe SSD にすることもできる。
大型機であるため HDD や SSD(SATA接続)を2つ追加してもらうことも可能だ。
内部構造のところで述べたように、空きの M.2 スロット(Gen4x4 対応)が2つあるので、自力での増設になるが NVMe SSD も2つ追加することができる。
本機のエアフロー(通気性)なら冷却も心配ないだろうし、かなりの大容量機にすることも出来るだろう。
メモリは標準で
現行の標準であり主力と言える が使用されており、2本のメモリにデータを分散して高速化するデュアルチャネルで動作。
特に問題はないが、長時間ゲームをしたり重い作業を行うのであれば、32GB に増量するのも良いだろう。
第12世代 Core は最新メモリの DDR5 にも対応しているが、本機のマザーボードは DDR5 に未対応だ。
DDR5 は CPU の負荷がかなり高くないと本領を発揮できず、多くのゲームで影響は少ない。
価格もまだ高いので、ゲーミングモデルに搭載されるのは当分先だろう。
総評
非常に高い処理性能を割安で、しかも低めの消費電力で得られる、非常にコストパフォーマンスの高い CPU というのが第12世代 Core(Core i7-12700)の印象だ。
本当に世代が変わったのを実感できる。
まだ出始めなので、もう少し普及するのを待ちたいと思っている方も多いと思うが、折からの半導体不足に加えて情勢不安に伴う材料不足などが重なっており、パソコンのパーツ価格は再び不安定な状態が続いている。
価格が落ち着くかどうかは微妙な情勢なので、値動きには注意して欲しい。
本機の性能面に関しては何も問題はない。
ゲーミングモデルのパーツ構成としては今の定番かつイチオシだ。
大型機なので置きづらい人もいるかもしれない、というのが気になるぐらいだろう。
拡張性も高く、ハイクラスで高すぎないゲーミングモデルが欲しいなら有力な選択肢だ。
・ドスパラ GALLERIA XA7C-R36T 第12世代Core搭載
ケース:デスクトップ(ミドルタワー)
CPU:Core i7-12700(第12世代、12コア20スレッド)
グラフィックス:GeForce RTX 3060Ti 8GB
メモリ:16GB(DDR4-3200、8GBx2)
ストレージ:1TB NVMe SSD(Gen3)
電源:650W(80PLUS BRONZE)
その他:Windows11、ケースファン3つ、ストレージ2つ追加可、空きM.2スロットx2、空きPCIe x16スロットx2
価格:税込244,979円
※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※Windows 10 のモデルもあります。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。
執筆:2022年3月13日