- 2024年1月に最新CPU搭載型となったドスパラの一般向けデスクトップPC
- 最新 Core i5 と GeForce RTX 4060 を搭載可能で多様な使い方ができる
- 専門モデルではないため価格は抑えられておりコスパに優れる
こんな人にオススメ!
- 安くて性能の良いパソコンが欲しい人
- 趣味にも仕事にも使えるリーズナブルなPCを探している人
- 初心者向けのデスクトップやゲーミングPCが欲しい人
(提供元:株式会社サードウェーブ)
一般モデルだからこそ割安
今回紹介する Magnate シリーズは、ドスパラ(サードウェーブ)の一般向けデスクトップパソコン(中型モデル)だ。
一般向けのため、ゲーミングモデルの GALLERIA や、クリエイターモデルの大型 raytrek よりケースの作りがシンプルで、パーツも小型で安価なものが使用されている。
しかし、そのぶん安く、デスクトップらしい拡張性と性能は備えているため、コストパフォーマンスに優れた機種として人気がある。
ここで取り上げるのは、そんな Magnate の2024年1月構成のビデオカード搭載機、
Magnate MV(インテル 第14世代 Core i5 プロセッサー搭載)だ。
搭載するCPUは、2024年に登場したばかりの第14世代 Core i5 の標準型。
ビデオカードは現在主流のひとつ GeForce RTX 4060 の小型(ファン1基)モデル。
どちらも電力効率に優れ、発熱が少ないため、本機のような一般向けのケースでも問題なく扱うことができる。
性能については後で詳しく述べるが、最新のデスクトップ用パーツであるため、十分に高い。
ストレージの収納スペースが多く、HDD や SSD をたくさん積みたい人にも向く。
価格は(2024年2月時点で)税込156,980円。
以下、その特長をレビューしていきたい。
ケースと内部構造
四角くて黒い外観の、オーソドックスなボックス型パソコン。
前部の中央に電源ボタンや前面端子があり、それほど重くないため、卓上置きに向いている。
最近は少なくなっている光学ドライブ(CD/DVD/ブルーレイ読取機)を収納可能な5インチベイがあるので、必要な人にはありがたい。
目立つ特徴はないが、左側面に大きな通気口がある。
標準構成の場合、ケースファンは排気用が1つあるだけで、吸気はほぼ側面からの自然吸気のみなので、壁に密着させたりして、この開口部を塞ぐようなことは絶対にしないように。
歴史を感じる、昔ながらの前面パネル
この網の周りは吸気のため開けておこう
中型ケース(ミニタワー)で、サイズは幅19cm、高さ36cm、奥行き42cm。
標準的なデスクトップケースより高さが 5cm ほど低い。
しかし大型のパーツが使われていないこともあり、中は広く感じる。
内部前面には光学ドライブ用の5インチベイ2つ、さらにHDDやSSDを収納可能な3.5インチベイが4つあって、多くのストレージを内蔵可能。
HDDやSSDを繋げるためのSATA端子はマザーボードに4つ備わっている。
電源ユニットが上部にあり、その吸排気をケースの通気に利用している配置
シャドウベイ(収納)がちゃんと備わっており、オーソドックス故に増設しやすい
M.2スロットは1つしかないので NVMe SSD の追加は無理だが、4つ(光学ドライブを内蔵する場合は3つ)の HDD や SSD を内蔵できるのは、動画などを大量に保存したい人や、古いパソコンのストレージを移植したい人には嬉しい。
購入時のカスタマイズでも2つ追加してもらえるので(SSD+HDD か HDD2つ)、自力での増設が不安な人でも大丈夫。
ちなみに、16TBの大容量HDDも選択可能になっていて、時代の進歩を感じる。
空きのPCIe スロットはビデオカードの下に x1 がひとつしかないが、高さ的に仕方ないだろう。
電源は標準構成で650W、80PLUS BRONZE の製品が使われており、出力には余裕がある。
やや注意なのは、ケースの足がゴムではなく、プラスチックなこと。
そのためテーブルがつるつるの場合、よく滑る。
配線や写真撮影のときに向きを変えやすくて重宝したが、ぶつかったときにツルーっと滑っていきそうで、ちょっと恐かった。
100円ショップなどで売っている滑り止めを付けた方が安心かもしれない。
全体的に、鉄板が薄く、簡素な作りで、安っぽさは否めない。
しかしだからこそ、実際に安く、軽くて置きやすく、中も増設しやすくて、デザイン優先のものより扱いやすい面もある。
ケース的にもコスパや使い勝手重視、といったところだろうか。
パーツ性能
処理性能(CPU)
本機のCPUには Core i5-14400F が採用されている。
2024年1月に発表されたばかりのデスクトップ用 第14世代 Core i5 の標準型だ。
Core i5 は Core i7 より下のグレードだが、価格・性能・消費電力・発熱などのバランスが良いミドルクスラスの製品で、本機のようなエアフロー(通気性)が高くない一般中型モデルに使うには、最適のCPUと言える。
Core i5-14400 は第13世代の Core i5-13400 とほとんど同じで、最大クロック数がちょこっと(0.1~0.2GHz)高いだけなのだが、定価も変わらないので、販売価格が同じなら第14世代にしておくに越したことはない。
コア構成はPコア6、Eコア4の、10コア16スレッド。
内蔵グラフィック機能がない「F」付きのCPUだが、ビデオカードを搭載していれば影響はない。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフト CINEBENCH R23 の測定結果と、主流デスクトップ用CPUとの比較グラフだ。
Core i5-14400F(10分測定)
Cinebench 2024 での計測
・マルチコア性能(標準型デスクトップCPU)
Core i7-13700:17700
Ryzen 7 5800X:14500
Core i7-12700:14000
Core i5-14400:13750(本機)
Ryzen 7 5700X:13000
Core i5-12400:11500
Ryzen 5 5500:9300
Core i7-11700:9200
Core i3-13100:8900
Ryzen 5 4500:8850
Core i5-11400:8000
・シングルコア性能(デスクトップCPU)
Core i7-13700:2020
Core i7-12700:1900
Core i5-14400:1830(本機)
Core i5-13400:1770
Core i3-13100:1730
Core i5-12400:1720
Ryzen 7 5800X:1580
Ryzen 7 5700X:1540
Core i7-11700:1520
Core i5-11400:1400
Ryzen 5 5500:1340
Ryzen 5 4500:1230
※近年の全CPUとの比較は こちら をご覧ください。マルチコア性能の測定値は約13750。
第12世代の Core i7-12700 と同等の性能で、一般用途としては十分。
ノートPCと比較すると、性能重視の Core i7-13700H や、最新型 Core Ultra 7 155H に近い。
なお、開始1分(うち約20秒はブースト中)に限れば、スコアは 14800 ほど出ていた。
シングルコア性能も約1830と高く、意外にも第13世代の Core i5-13400(約1770)と相応の差が付いている。
Intel Core はシングルコア性能が優秀で、それは Core i5 でも変わらない。
よってライバルの AMD Ryzen より、特にゲームに強い。
また、特筆すべきはCPU温度で、高負荷な性能測定中でも温度は最大で50℃程度。
CPUクーラーは標準的な小型のものだったが、発熱はかなり低く、これならケースに高い通気性がなくても安心だ。
もちろん動作音もとても静かだった。
以下はパソコンの性能測定に使われる「PCMark 10」の結果だ。
基本作業、事務作業、画像/映像関連、すべての分野において良い数値が出ている。
アプリの起動やウェブサイトの閲覧が速いのは当然として、表計算も1万を超える。
画像の加工はビデオカードのパワーがあるため、かなり高い数値である。
仕事でも趣味でも、一通りの作業を快適にこなせるだろう。
グラフィック性能(ビデオカード)
Magnate にはビデオカードを搭載しないモデルもあるが、今回扱っている Magnate MV は GeForce RTX 4060 を搭載する。
最新型である GeForce 4000 シリーズの中では下のグレードだが、下位製品の GeForce GTX 1660 や RTX 3050 より上位の、性能と価格のバランスが取れたミドルクラスの製品だ。
ビデオメモリは GDDR6 を 8GB 搭載。
本機はファンが1つの小型モデルを搭載していたが、冷却性能はダブルファンと大差ない。
シングルファンでしっかり冷やすにはファンを高速で回す必要があるため、ダブルファンよりも動作音は高くなりがちだが、GeForce RTX 4060 は発熱が低めなので、そこまで大きな音にはならない。
以下は 3DMark:TimeSpy で測った3D描画性能と、各ゲームのパフォーマンス予測、主流ビデオカードとの比較グラフだ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
・3D Mark: TimeSpy(デスクトップ用)
GeForce RTX 4080 SUPER:28500
GeForce RTX 4080:28000
GeForce RTX 4070Ti SUPER:24000
GeForce RTX 4070Ti:23000
GeForce RTX 4070 SUPER:20500
GeForce RTX 4070:17500
Radeon RX 7700 XT:17000
GeForce RTX 4060Ti:13500
GeForce RTX 3070:13000
GeForce RTX 3060Ti:11500
Radeon RX 7600:10900
GeForce RTX 4060:10600(本機)
GeForce RTX 3060:8500
GeForce RTX 3050 8GB (2022):6200
GeForce GTX 1660 SUPER:6000
GeForce RTX 3050 6GB (2024):4800
GeForce GTX 1650:3600
Ryzen 7 8700G (CPU内蔵、RDNA3):3000
GeForce GTX 1050Ti:2500
Core i7-13700 (CPU内蔵、Intel UHD):800
※近年の全グラフィック機能との比較は こちら をご覧ください。本機のグラフィックスコアは約10600。GeForce RTX 4060 の標準的スコアだ。
本機は小型モデルを使用しているが、性能は普通のものと変わらない。
では、この3D描画性能で、最新のゲームがどのぐらい動くのか?
以下は各モードで測定した、最新ゲームの動作速度の一覧だ。
※解像度は1920x1080。動画は実機で録画したものですが、再生速度は30fpsです。
・モンスターハンターライズ
高画質の戦闘中で 110~140fps。とても快適にプレイできる。
DLSS は有効ではないが、この描画速度なら問題はない。
・パルワールド
最高画質で DLSS なしだと 70~80fps。
しかし DLSS あり(パフォーマンス)なら 90~110fps で動く。
なお、このゲームは最初から DLSS が ON になっている。
・龍が如く8
最高画質で DLSS なしだと 70~100fps。
しかしこのゲームは DLSS の効果が大きく、ON にすれば 90~120fps の速度が出る。
フレーム生成技術を持つ DLSS 3 に対応することも告知されており、GeForce 4000 シリーズなら今後さらにパフォーマンスを上げられるだろう。
・鉄拳8
起動時のベンチマークスコアは457。画質は「高」に設定される。
しかし画質を「最高」に変えても上限の 59~60fps で動くので、最高画質で問題なく遊べる。
なお、このゲームに DLSS の設定項目はないが、DLSS 2 に対応していると告知されている。
・ストリートファイター6(ベンチマーク)
最高画質(HIGHEST)でバトル中の上限速度 60fps で動作する。
もちろん評価スコアも100点で、快適にプレイ可能。
町を出歩くシーンは最高 120fps だが、こちらも描画速度は 60fps だった。
本機は一般、及びオフィス向けのパソコンとして販売されているが、GeForce RTX 4060 搭載モデルなら、十分にゲーム用のパソコンとして通用する。
CPU が Core i5 だからか、グラフィックスコアの割には速度が出ていないケースもあったが、誤差程度であり、体感できる程ではない。
もちろん画像加工や動画編集なども快適で、軽めの(DirectX でも動く)ものなら、3D CAD(設計ソフト)や3Dモデリングソフトも使えるだろう。
GeForce 4000 シリーズは動画エンコードも最新の AV1 を利用でき、創作作業でも最新技術を活用できる。
ストレージ(記録装置)とメモリ
ストレージ(データ記録装置)には容量500GBの NVMe SSD が使用されている。
カスタマイズで1TBや2TBの製品に変更することも可能。
ただ、内部構造のところで述べた通り、本機はHDDやSSDを追加できるので、容量を増やすだけならそちらの方が割安だ。
また、本機のマザーボードの M.2スロット は、Gen3(PCIe 3.0)までしか対応していない。
搭載されていた NVMe SSD は Solidigm(ソリダイム)社の P41 Plus という製品で、Gen4 に対応しているのだが、スロット側が Gen3 だとそちらの速度に合わせられてしまう。
本来 NVMe SSD は容量を増やせば速度も上がるが、Gen3 だと速度が頭打ちになるので、その点を加味してストレージを選択しよう。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフトで速度を計測した結果だ。
標準設定での測定
NVMe SSD 設定の測定
※テスト結果は製品と異なる可能性があります。
読み込み約3500MB/s、書き込み約1650MB/sという性能は、ほぼメーカー公称値通りだ。
このぐらいの速度なら、Gen3 の M.2スロット に付けていても出せる。
1TB にすると、読み込みが 4125MB/s、書き込みは 2950MB/s の性能になるが、Gen3 は 3500MB/s 辺りが上限なので、読み込み速度が頭打ちになると思われるので注意。
Gen3 クラスの速度なので最近の NVMe SSD としては速い方ではない。
また、ランダムアクセスも高くなく、NVMe SSDで本来可能な同時処理は行われていない。
ただ、この Solidigm P41 Plus は寿命や耐久性に定評があった Intel 社のストレージ開発技術を引き継いで作られており、信頼性は高いと思われる。
そして容量の割に価格が安いため、最近人気急上昇中で、コスパは非常に良い製品だ。
メモリは DDR4(DDR4-3200)を 16GB 搭載している。
従来からの主流メモリで、最新の DDR5 ではないが、多くの用途で DDR5 と DDR4 の差は少ないので、コスパ重視の機種なら DDR4 で良いだろう。
もちろん2本のメモリにデータを分散して高速化するデュアルチャネルで動いている。
32GBに増量した場合、(2024年2月時点で)価格は+12100円となる。
総評
消費電力や発熱が大きくない Core i5 や GeForce RTX 4060 といったミドルクラスのパーツで構成するなら、そこまで大きくて高度なケースは必要ない。
それで十分な性能を確保できるなら、安いケースでも良いよね、というのは道理であって、そんな考えのユーザーにも愛されてきたのがドスパラの一般ケースのパソコンだ。
最近は他のメーカーも新型でリーズナブルなビデオカード搭載機を出しているため、同じぐらいのコスパの製品は増えている。
ただ、他社の新型機の多くは、デザインに優れるが、拡張性はそうでもない。
本機は収納できるストレージが多く、多様なカスタマイズにも対応しているのが強みで、コスパ重視なのにシャドウベイを削っていないところや、費用がかかるカスタマイズを維持している点に、パーツショップであるドスパラらしさを感じることができる。
第14世代 Core にいち早く対応した即応性も良い。
もちろんデザインも大切だと思うので、ここまで地味だと今となってはどうかとも思うが、実用外なところに金をかけずに安くするのも戦略ではあるだろう。
デスクトップを選びたい初心者や、安くて大容量のゲーミングPCが欲しい人、ストレージの移植を考えている人、写真や動画の配信者などで、リーズナブルなマシンが欲しい人にお勧めだ。
(インテル🄬 Core i5™ プロセッサー 14400F搭載)
ケース:デスクトップ(ミニタワー)
CPU:Core i5-14400F(第14世代 P6/E4)
GPU:GeForce RTX 4060(8GB、1ファン)
メモリ:16GB(DDR4-3200、8GBx2)
ストレージ:500GB NVMe SSD(実質Gen3)
電源:650W(80PLUS BRONZE)
拡張:空きPCIe x1 1本、SATAコネクタ x4、3.5インチベイ x4、5インチベイx2
その他:注文時 HDD/SSD 2つ追加可
価格:税込156,980円
※詳細はドスパラ公式サイトをご覧下さい。
※ビデオカードを搭載しないものを含む、Magnate シリーズ一覧は こちら をご覧ください。
※もっと大型の一般モデルは Monarch になります。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。