- マウスコンピューターのウェブ販売用 廉価デスクトップ ゲーミングPC
- GeForce RTX 5060Ti 搭載で、最新かつ優れたゲーミング性能を発揮
- 側面ガラスパネルでLEDファンも搭載可能、CPU は Zen3 Ryzen でコスパ優先

こんな人にオススメ!
- 最新で高いゲーミング性能を持つ、安めのPCが欲しい人
- デザインに優れるパソコンが欲しい人
- いま買うなら GeForce RTX 50 でしょ! という人
(提供元:株式会社マウスコンピューター)
GeForce 5060Ti の時代到来
NEXTGEAR はマウスコンピューターの安価なゲーミングパソコンのブランドだ。
「若者に安くゲーミングPCを提供したい」という考えの元、WEB販売用のオーダーメイドモデルにして在庫管理のコストを減らし、CPU はコスパに優れる AMD Ryzen のみとした、G-Tune とは異なるコンセプトのゲーミングモデルである。
とは言え、2023年の登場から約2年が過ぎ、上位のCPUやビデオカードも選べるようになって、ハイスペックな構成も含まれるようになった。
そんな NEXTGEAR に、2025年に新登場した GeForce RTX 5000 シリーズを搭載するモデルが加わった。
今回紹介するのはその中のひとつ、CPU に Ryzen 7 5700X を使用し、ビデオカードに GeForce RTX 5060Ti(16GB)を搭載する「NEXTGEAR JG-A7G6T」だ。
GeForce RTX 5060Ti にはビデオメモリが 8GB と 16GB のものがあるが、高解像度でも高性能を発揮できる 16GB 版が使用されている。
性能については後述するが、噂に違わない非常に高レベルなものだった。
CPU の Ryzen 7 5700X は Zen3 世代であり、Zen5 が出ている今となっては旧型となる。
しかし価格が安くなっていて、バランスの良い性能を持つため、ここに来て安価な CPU の定番のひとつとなっている。
ゲーム性能に大きく影響するビデオカードを良いものにして、CPU を安めにするのは、コスパを重視するゲーミングPCの構成としておなじみだ。
価格は(2025年6月時点で)税込179,800円。
メモリ16GB、ストレージ1TBで、20万円を切る。
今回の試用機はLEDファンを搭載していなかったが、カスタマイズで赤や青、さらには七色に発光するLEDケースファンを搭載可能。
側面もガラスパネルであるため、外観を美しく彩れるのも特徴だ。
なお、同名(NEXTGEAR JG-A7G6T)の旧モデルもあり、紛らわしいので注意して欲しい。
ここで紹介するのは2025年型、GeForce RTX 5060Ti 搭載モデルだ。
以下、その詳細をレビューしていきたい。
ケースと内部構造
デザインとケース設計
NEXTGEAR のケースデザインは前面に「X」の意匠が施された、奇抜なものとなっている。
ユーザーアンケートによって選ばれたデザインで、カッコ良さがあると同時に、X のすき間から空気が通るようになっていて、通気性も良好だ。
また、LEDケースファンを搭載すると、この X のすき間から光が漏れるため、内部だけでなく前面も美しく照らされる。
なにげにゲーミングモデルとして、メリットの多いデザインだ。

SF感と高級感が両立されたデザイン

LEDファン搭載だと明かりが前面に透過
左側面は全面ガラスパネルとなっており、中の様子を眺めることができる。
動作の確認はもちろん、発光ファンで美しく照らされる内部の様子を楽しむことができる。
LEDファンを搭載する場合、固定色なら価格は+5500円。
色を変えられるARGBファンを搭載したい場合は+9900円となる。
ガラスパネルと今風のデザイン、さらに発光ファン対応により、とても高級感があり、その外観は安価モデルとは思えない。

赤と黒のゲーミングカラーが映える

ARGBファンなら発光色を変化させられる
前面端子や電源ボタンは、前ではなく天井に付いている。
このため床置きに向いた作りと言えるが、ガラスパネル+発光ファンによる美しさを楽しみたいなら、卓上に置きたいところ……
この辺は、やや置き場所に困る設計ではある。
本機の特徴として、LEDボタンが付いており、ARGB(色変更対応)ファンが付いている場合、ボタンで色を切り替えることができる。
ケースサイズは、高さと奥行きは約41cm、幅は22cm。
G-Tune の一般モデルとほぼ同じ大きさだが、幅は3cmほど広い。
そのぶん内部スペースが広く、大型のCPUクーラーやビデオカードも無理なく収まるようになっている。
なお、今回の紹介機は水冷のCPUクーラーを搭載しており、天井にラジエーターが付いていた。
天井には通風口があり、塞がないようにする必要があるが、全面がそうではないので、穴のないところに物を乗せたりすることはできる。
通気口にはマグネットで防塵網が貼り付けられており、簡単に外して掃除することができる。

天井端子部。初期型にはなかったLEDカラー変更ボタンが嬉しい

天井の防塵シートはペラっとめくれる
天井ファン固定用のネジ穴が見える
接続端子の種類は、天井にUSB3.0(5Gbps)2つと、イヤホン、マイクのジャックが。
背面には計8つもの USB があり、マウス/キーボード用の USB2.0 が2つ、USB3.0(5Gbps)が4つ、USB3.1(10Gbps)が1つ。
さらに USB-C(10Gbps)も1つあり、数は十分。
また、PS/2ポートが備わっていて、古い端子だが USB より反応が速いため、ゲーマーなら活用してみたいところ。
オーディオ端子 は赤・緑・青の3つ。
ビデオカードには HDMI が1つ、Display Port が3つ備わっている。
無線LAN(Wi-Fi)や Bluetooth は標準では内蔵されていないが、カスタマイズで Wi-Fi 6E のものを追加可能だ。
なお、本機は底にも網があり、電源ユニットは底面から吸気している。
毛の長いカーペットの上などに置くと吸気の妨げになるので注意して欲しい。
底の網も天井のものと同じく簡単に外せるので、たまにチェックして掃除しておこう。
内部の構造と拡張性
NEXTGEAR のケースは G-Tune のミニタワーより高い通気性と広いスペースを持ち、手を入れやすい。
マウスコンピューターはユーザーによるパーツの増設/交換を非推奨としているが、ケース自体は相応の拡張性を持っている。
ただし、3.5インチや5インチの大型ベイ(収納部)がないため、3.5インチの HDD や、DVD/ブルーレイドライブを内蔵することはできない。
今回の試用機はLED(発光)ファン非搭載機だったため、ケースファンは前面に1つ、背面に1つの2基だった。
ただ、天井に水冷CPUクーラーのラジエーター(冷却水の冷却機)があり、そこに付いている2つのファンが排気ファンを兼ねるため、合計で4つのファンがある。
これだけあれば通気性は非常に高く、長時間使用しても熱がこもる心配はないだろう。
LEDファン搭載機の場合は前面のケースファンが3つになるため、合計6つものファンが付くことになる。
そこまでの通気は必要ないので、装飾用と言える。
そんなにファンが多いと騒音が心配になる方もいると思う。
実際、2年前に見た初期モデルは騒音が大きくて、それが欠点と言えた。
しかし今回の試用機はかなり静かになっていて、高負荷をかけても、むしろ他のゲーミングデスクトップより動作音は小さい。
NEXTGEAR や G-Tune の動作音については、春の展示会で開発の方に聞いてみたのだが、今は40db台を基準に回転速度を調整しているとのことだった。
これはゲーミングPCとしてはかなり静かな方だ。
2025年現在、動作音については心配の必要はないだろう。

背面+天井の3つのファンで強力に排気
コードもすっきりまとまっている

LEDファン搭載モデルの場合、前面に3つの吸気ファンがズラッと並ぶ
拡張性についてだが、マザーボードの裏側(右側面)に2.5インチ用のマウンタ(固定器具)が2つ用意されている。
また、マザーボードの脇にも2.5インチの機器をネジ止めできる場所がある。
よって、2.5 インチの SSD なら(自力で)3つ増設することが可能だ。

拡張非推奨と言いつつマウンタを用意しているところがツンデレ

この部分にも2.5インチSSDをネジ止めできるようになっている
マザーボードの下部には空きの M.2 スロットがあり、NVMe SSD を(自力で)増設可能。
ただし、このスロットは Gen3 までしか対応しておらず、レーン数も2本となる。
SATAコネクタ は6つも備わっているが、5番目の6番目の SATA は2本目の NVMe SSD を取り付けた場合、利用できなくなるので注意。
それでも4つあるので、SATA が少ないということはない。
使用されているマザーボードは ASRock 製の B550M Pro4 という製品だった。

SATA #5 #6 とサブの M.2 スロットは
どちらか一方の排他利用

空きの PCIe 3.0 x16 スロットが1本ある
ビデオカードの支柱があるのは嬉しい
電源ユニットは下部のカバー内に配置されており、標準で750Wの 80PLUS BRONZE のものが使われていた。
GeForce RTX 5060Ti の推奨電源は 600W 以上なので、出力は問題ない。
+5500円で 80PLUS GOLD のものにでき、電源の良し悪しは故障率に直結するので、無理に必要ではないが、個人的にはこちらの方がお勧め。
850W の電源も選べるが、もっと上位のビデオカードに付け替える予定があったりする人でない限り、そこまで必要ないだろう。
なお、本機にはLEDファン用のコントローラーボードが付いていた。
※ ARGB 端子(3ピンのLEDヘッダー)が6つも付いている。ちなみに4ピンは色が固定の RGB 専用。
4ピンだと逆向きでも刺さってしまうので、3ピンの方が改良型である。
LED発光の機器をたくさん繋げるためのハブ(分岐)で、ファン用の電源ケーブルも分岐ケーブルによって4つに増やされていた。
LEDファン非搭載機でも、この辺は搭載機と同じように備わっているようだ。
よって知識のある人なら、あれこれ繋げてピッカピカにすることも、本機ならできるだろう。
パーツ性能
グラフィック性能(GPU)
ゲーミングモデルなので、パーツはグラフィック機能(ゲーミング性能)からレビューしよう。
本機のビデオカード(グラフィックボード)は GeForce RTX 5060Ti。
2025年から普及し始めた GeForce RTX 5000(Blackwell)シリーズのひとつで、5060Ti は2025年5月に発売された。
GeForce RTX 5000 は 4000 シリーズより一回り性能が高くなっているが、最大の長所は新しい AI(Tensor コア)によって、最新の最適化機能 DLSS 4 を利用できることだ。
これにより、対応しているソフトウェアなら動作速度が大幅に向上する。
VRAM(ビデオメモリ)が8GBのものと16GBのものがあり、本機が搭載するのは16GB版。
もちろん16GBの方が上位で、8GB版は高い解像度には向かず、1920x1080の画面でプレイする人向けと言える。
ただ、メモリの種類が最新の GDDR7 になっているため、同じメモリ量でも以前より高解像度や高リフレッシュレートへの対応力(帯域幅)は増している。
GeForce RTX 5060Ti 16GB の6月時点での市場価格は8万円ほど。
またパソコンのパーツが値上がり気味なので、ミドルクラスとはいえ安くはない。
だが、それに見合った性能があるとアピールされている。
では、実際のところどうなのか?
まずは 3DMark:TimeSpy で測った3D描画性能と、各ゲームのパフォーマンス予測、他の主流ビデオカードとの比較を掲載しよう。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
・3D Mark: TimeSpy(デスクトップ用)
GeForce RTX 5070Ti:27500(300W)
GeForce RTX 5070:22500(250W)
GeForce RTX 4070Ti:22500(285W)
GeForce RTX 4070:17500(200W)
Radeon RX 7700 XT:17500(245W)
GeForce RTX 5060Ti:16000(180W)本機
GeForce RTX 3070Ti:14500(290W)
GeForce RTX 5060:13500(145W)
GeForce RTX 4060Ti:13500(160W)
GeForce RTX 3070:13500(220W)
Radeon RX 7600:11500(165W)
GeForce RTX 4060:10500(115W)
GeForce RTX 3060:8500(170W)
GeForce RTX 3050 8GB (2022):6200(130W)
GeForce RTX 3050 6GB (2024):4800(70W)
GeForce GTX 1650:3600(75W)
Core i7-13700 (CPU内蔵、Intel UHD):800
※近年の全グラフィック機能との比較は こちら をご覧ください。緑のグラフは性能評価値、青のグラフは消費電力の目安(TDP)である。
緑は高いほど、青は低いほど良い。
測定値(グラフィックス スコア)は約16000。
GeForce RTX 4000 シリーズと比べると、4060Ti より上だが、4070 よりは下。
以前と比べて、飛びぬけてと言うほどではないが、かなり高性能であることは間違いない。
本機には MSI 社の GeForce RTX 5060Ti 16GB VENTUS 2X OC PLUS という製品が使われており、GPU は最大 約2800MHz で動作していた。
測定中の温度は 72℃ ほど。
では、この3D描画性能で、最新のゲームはどのぐらい動くのか?
以下は実機で検証した、最新ゲームの動作速度の一覧だ。
※解像度は1920x1080。動画は実機で録画したものですが、再生速度は30fpsです。動画が止まっている場合は長押ししてください。
・モンスターハンターワイルズ
高画質、DLSS がバランスの設定で、負荷が低めの砂漠では 60~80fps。
負荷が高い森のシーンでも 60fps 前後で動作しており、快適にプレイ可能。
そしてフレーム生成を使用すると 105~120fps に向上する。
フレーム生成は負荷が高くなり、操作のレスポンスも悪化することがあるが、本機ではそうした様子を感じなかった。
・Ghost of Tsushima
画質が「高い」で DLSS がバランスだと 120~160fps。
「非常に高い」の設定でも 105~145fps と、とても優秀。
そしてフレーム生成を ON にすると、非常に高い画質で 160~200fps という、驚くほどの描画速度を発揮する。
フレーム生成使用時でも、プレイしていて遅延などを感じることはない。
このゲームは NVIDIA の技術講演会などで、DLSS による品質アップの一例として紹介されることが多く、GeForce RTX 5000 & DLSS 4 との相性が非常に良いようだ。
・龍が如く8
最高画質、DLSS がバランスの状態で、130~140fps で動作する。
DLSS なしでも動作速度はほぼ同じで、すでに十分な速度が出ているためか、DLSS の効果はほとんど感じられなかった。
ただ、DLSS を効かせておかないと影などがチラつく症状が見られたので、DLSS をクオリティ設定(画質優先)で良いので使っておいた方が安定する印象だ。
・ストリートファイター6
最高画質(HIGHEST)でも、バトルは上限速度の 60fps で動作する。
町を散策するシーンも 80~100fps が出ており、特に問題はない。
このゲームはCPUの性能も相応に影響するようで、最新CPU搭載のパソコンと比較した場合、若干(町のシーンの)速度が低めになるが、気になるほどではない。
すべての最新ゲームが高画質で 60fps(秒間60コマ)以上で動いており、タイトルによっては 120fps を越える。
120Hz のリフレッシュレートを持つゲーミングモニターの性能も十分に活かせる性能だ。
NVIDIA 自慢の DLSS 4 によるフレーム生成も、対応タイトルなら効果は非常に高い。
操作遅延なども気にする必要がないレベルで、AI のパワーをゲームでも見せつけられた。
なお、DLSS 4 に対応していないゲームだとどうなるかだが……
以下は未対応ゲームであるファイナルファンタジー15と14のベンチマークの結果だ。


FF15 も FF14 も最高画質の設定で「非常に快適」の評価、測定スコアも極めて高い。
そもそも基本性能が十分に高いので、DLSS がなくてもほとんどのタイトルは余裕で動かせる。
DLSS 4 に未対応でも、DLSS 3 なら対応している場合が多い。
真価を発揮するのは DLSS 4 対応タイトルだが、あまり気にする必要はないだろう。
現行のPCゲームは、ほぼすべて快適に遊べる性能だ。
処理性能(CPU)
2025年度の NEXTGEAR には、Zen2 世代 から Zen5 世代までの、7種類の CPU を搭載したモデルが存在する。
ただ、NEXTGEAR はコストパフォーマンスの良い Ryzen の使用を前提としているので、Intel の Core シリーズを搭載するモデルはない。
使用されている CPU と、その特徴を簡単にまとめると以下の通りだ。
- Ryzen 5 4500
Zen2 世代の改修型。2022年に登場したCPUだが、Zen2 は2019年の設計。
ビデオカードの補助があれば一般的な作業ならこなせるが、今となってはさすがに古く、ここではお勧めしない。
ただ、価格がとても安く、GeForce RTX 5060 との組み合わせだと13万円台となる。 - Ryzen 5 7500F
Zen4 世代。2023年に登場したCPUだが、Ryzen 5 なので安価型。
設計が新しいので Ryzen 5 とはいえ性能が良く、コストパフォーマンスに優れる。
しかしなぜか NEXTGEAR には、GeForce RTX 5060Ti 搭載モデルがない。 (5060 まで) - Ryzen 7 5700X(今回の試用機)
Zen3 世代。2022年に登場したCPUだが、Zen3 は2020年の設計。
設計がやや古いのでシングルコア性能が劣るが、Ryzen 7 なのでマルチコア性能は悪くなく、安価な多用途型と言える。 - Ryzen 7 7700
Zen4 世代。2023年に登場したCPUで、主力タイプのひとつ。
設計が新しく、マルチコアとシングルコアの双方に優れるが、価格は高め。
Ryzen 7 7700X という CPU もあるが、大差はない。 - Ryzen 7 7800X3D
Zen4 世代のゲーム用 特殊CPU。
積層キャッシュ(3D V-Cashe)という手法で大量のキャッシュを内蔵している。
ゲームに優れた能力を発揮するが、ゲーム以外の速度は若干落ちる。価格が高い。 - Ryzen 7 9700X
Zen5 世代の主力CPU。2024年に登場した Ryzen の最新型。
低い電力で高い性能を発揮し、実働性能を高める様々な技術も導入されているが、高額なのと、省電力重視ゆえにピーク性能が伸びていないため、やや不人気。 - Ryzen 7 9800X3D
Zen5 世代のゲーム用 特殊CPU。積層キャッシュが改良され、ゲーム以外でも優秀。
ゲームに特に優れた能力を発揮し、Zen5 の実働能力の高さもあって人気になっているが、値段はかなり高い。これを使うならビデオカードは GeForce RTX 5070 以上にしたい。
(5060Ti 以下なら、X3Dにするお金でビデオカードのランクを上げた方がいい)
今回の検証機に使われていたのは、Zen3 世代の Ryzen 7 5700X だ。
リストの3番目だが、価格は2番目の Ryzen 5 7500F より安いので、NEXTGEAR で選べる CPU としては2番目の安さとなる。
8コア16スレッドのCPUで、TDP(電力と発熱の目安)は 65W。
値段や世代の割にマルチコア性能が良いため、Windows の起動速度や、Photoshop による画像加工などに比較的優れている。
以下はベンチマーク(性能測定)ソフトの結果と、他の主流デスクトップ用CPUとの比較だ。

Cinebench R23 測定結果

Cinebench 2024 測定結果
・マルチコア性能(Cinebench R23)
Core Ultra 7 265:28500
Core Ultra 5 245:22000
Ryzen 7 9800X3D:22000
Ryzen 7 9700X:20500
Core i7-14700:19700
Ryzen 7 7700:18500
Ryzen 7 7800X3D:18000
Core i7-13700:17700
Core Ultra 5 225:14500
Ryzen 5 7500F:14500
Core i5-14400:13750
Ryzen 7 5700X:13300(本機)
Core i3-13100:8900
Ryzen 5 4500:8850
Intel 300:3100
・シングルコア性能(Cinebench R23)
Ryzen 7 9700X:2210
Core Ultra 7 265:2150
Ryzen 7 9800X3D:2100
Core Ultra 5 245:2050
Core i7-14700:2050
Core i7-13700:2020
Ryzen 7 7700:1920
Core Ultra 5 225:1880
Core i5-14400:1820
Ryzen 5 7500F:1820
Ryzen 7 7800X3D:1800
Core i3-13100:1730
Ryzen 7 5700X:1530(本機)
Intel 300:1400
Ryzen 5 4500:1230
グラフのオレンジ色は NEXTGEAR(2025)で選択できる CPU。
黄色が今回の試用機に搭載されていた CPU だ。
見ての通り、NEXTGEAR の CPU の中では価格が下から2番目なので、性能も下から2番目。
Ryzen 7 5700X のマルチコアの測定値は13300。
悪くない数値で、現行の CPU としては下位となるが、一般用途としては十分だ。
シングルコアのスコアは1540と、世代なりの性能といったところ。
Intel の CPU と比較すると、マルチコアは第12世代 Core i7、シングルコアは第11世代 Core i7 と同等と言える。
最新性能とは言えないが、コストパフォーマンスは良く、Zen2(Ryzen 5 4500)が古くなっていることを考えると、安価機の CPU としてはベターな選択だろう。
測定中の投入電力は 78W で、CPU温度は 58℃ 前後と、かなり低かった。
そこまで高発熱でないにも関わらず水冷クーラーを搭載するため、冷却は過剰と言えるほど。
もちろん温度は低いに越したことはなく、これなら夏に長時間動かしても安心感があり、ファンの音も静かになる。
以下はパソコンの性能測定によく使われる「PCMark 10」というソフトの結果だ。
アプリの起動速度やウェブサイトの閲覧といった一般的な軽作業の速度は、近年のCPUなら差は生じない。
さすがに Zen2 だとスコアに差が出るが、Zen3 の Ryzen 7 5700X なら標準的な結果だ。
事務作業に関しては、表計算の数値が振るわなかった。
Ryzen は表計算に関しては、高めの数値が出ることが多いのだが……
とは言え、及第点のスコアではあり、書類作成も含め、一般的な作業は普通にこなせるレベル。
ただ、Zen4 の Ryzen なら、表計算はもっと高い数値が出ることは付け加えておく。
素晴らしいのは写真/画像加工の速度で、GeForce RTX 5060Ti のパワーのおかげでスコアは20000を越えていた。
GeForce 4000 シリーズより10~20%ほど高く、ノートパソコンだとかなり高額な機種でないと出せない数値だ。
映像編集は悪くないと言うか、ビデオカード搭載のデスクトップ用 Zen3 相応といったところ。
全体として、最新ではないものの、コストを考えると良好な、標準的能力を持っている。
ストレージ(記録装置)とメモリ
本機のストレージには 1TB の NVMe SSD が使われている。
速度に優れる Gen4 の製品で、カスタマイズで 2TB や 4TB の製品にして貰うことも可能。
使われていた NVMe SSD の種類は、ちょっと解らなかった。
型番から調べることができなかったため、マウスが独自に発注している製品かもしれない。
以下は試用機に搭載されていた NVMe SSD の測定結果だ。

標準設定で測定

NVMe SSD 設定で測定
読み込みが約6000MB/s、書き込みも約5500MB/sと、バランスの良い高性能を持っている。
加えて、ランダムアクセス も読み書き共に約2500MB/sという、素晴らしい速度を発揮した。
これならゲームにも最適で、たとえノンブランドでも性能的には全く懸念はない。
カスタマイズで上位の製品にすることもできるが、その必要を感じないレベルだ。
ただ、本機は注文時にストレージを追加することはできない。
大容量の NVMe SSD に変えて貰うことはできるが、2TB で+25000円と、かなり割高。
内部構造のところで述べたように、2.5インチ SSD や NVMe SSD(Gen3.0)を増設できるようになっているが、自力で行うことになる。
しかしマウスコンピューターは自力でのパーツ増設や移植は非推奨で、メーカー保証外となる。
速度 10Gbps の USB と USB-C があるので、外付け SSD でまかなう手もあるが……
(USB10Gbpsでの最大速度は1000MB/s。SSDは500MB/sなので通常速度は十分。ただしランダムアクセスは100MB/sと遅め。でも HDD ほどは遅くない)
ストレージをどうするかについては、事前に考慮しておいた方が良いだろう。
メモリは DDR4-3200 が16GB搭載されている。
CPU が Zen3 なので最新の DDR5 を使うことができないが、DDR4 でも不便はない。
2本のメモリにデータを分散して高速化するデュアルチャネルで動作しており、カスタマイズで増量することも可能。
なお、本機はメモリスロットが4本あり、2本余っているので、あとで(自力で)増設も可能だ。
ただし4本にするとメモリの速度は若干下がる。
総評
比較的安価なマシンだが、デザイン的にも構造的にも優れた、お勧めできるパソコンだ。
ガラスパネルと発光ケースファンによる美しさと遊び心もあって、安価機にありがちな安っぽさは一切ない。
むしろ、G-Tune(ミニタワー)より後発のケースだけあって作りが良い。
コードの結束なども丁寧に行われていた。
GeForce RTX 5060Ti のゲーミング性能も、予想していた以上だった。
GeForce RTX 4070 に迫る性能なので当たり前ではあるのだが、最新ゲームも高画質で、快適に動作させることができる。
そして DLSS 4 は、NVIDIA が大々的にアピールしていた通りの効果を発揮。
去年の夏までは重すぎて使い物にならなかったフレーム生成が、軽快に低遅延で速度を飛躍的に高めているのを見ると、「あぁ、AI の時代なんだな」と思わずにはいられない。
CPU に関しては、Zen3 世代の Ryzen 7 5700X はコストパフォーマンスには優れるが、あまり特筆するところはない印象。
ただ、欠点もなく、2025年度の安価デスクトップ用の CPU としては無難な選択だ。
個人的には、1万5千円ほど高くなっても良いのであれば、Ryzen 7 7700 を勧めたいが。
もうひとつ特筆しておくべきなのは、マウスコンピューターは品質管理をより強化していて、標準の保証期間も BTO メーカーとしては最長の3年あること。
信頼性が高く、特に初心者にとっては安心できる。
NEXTGEAR も登場から2年、そろそろ日本のゲーミングPCの定番のひとつと言って良いだろう。

(NEXTGEAR の一覧は こちら を)
ケース:デスクトップ(ミニタワー)
CPU:Ryzen 7 5700X(Zen3、8コア16スレッド)
クーラー:水冷CPUクーラー240mm
グラフィックス:GeForce RTX 5060Ti 16GB
メモリ:16GB(DDR4-3200、8GBx2)
ストレージ:1TB NVMe SSD(Gen4)
電源:750W(80PLUS BRONZE)
拡張:空きM.2 x1(Gen3x2)、SATA端子 x6、PCIe 3.0 x16 1本、2.5インチマウンタx2
マザーボード:B550 チップセット
その他:LEDファン / ARGBファンを選択可能、ARGB色変更ボタン、側面ガラスパネル、標準で3年保証
価格:税込179,800円
※詳細はマウスコンピューター公式サイトをご覧下さい。
※価格はLEDファンなしの場合です。LEDファン(固定色)の場合は+5500円、ARGBファン(可変色)の場合は+9900円となります。
※モニター、キーボード、マウス、ヘッドセットが付属されたスターターセットもあります。
※ビデオカードが異なる同名の機種があるのでご注意ください。ここでレビューしているのは2025年に発売された GeForce RTX 5060Ti 搭載機です。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。