- 2023年10月に発売されたマウスコンピューターの16型ゲーミングノート
- 若者向けの価格、デザイン、カラー、スペックを持つ新コンセプトの製品
- 今回は Ryzen 7 と GeForce 4060 を搭載する上位モデルを取り上げる
こんな人にオススメ!
- コスパに優れたゲーミングノートを探している人
- 鮮やかな色のノートパソコンが欲しい人
- 価格と性能のバランスの良いノートPCを求めている人
(提供元:株式会社マウスコンピューター)
AMD CPUのコスパ重視ゲームノート
昨今、家庭用ゲーム機の停滞に伴い、パソコンゲームが注目され、そのシェアを伸ばしている。
しかし近年のパソコン価格は高騰を続けており、若者がゲーミングPCを欲しがっても、なかなか手を出すことはできない。
そんな状況を憂いたマウスコンピューターが若者でも買える、若者向けデザインのパソコンを作ろうと新設したブランドが「NEXTGEAR」だ。
デスクトップPCは夏に発売されており、当サイトでもレビューしているが、この秋、ついにノートパソコンも登場した。
それが16型ノートの「NEXTGEAR J6」シリーズである。
価格を抑えるため、CPUは定番の Intel Core ではなく、コストパフォーマンスに優れた AMD Ryzen が使用されている。
現時点(2023年11月)で Ryzen の性能重視型である Ryzen 5 7535HS と Ryzen 7 7840HS を搭載するモデルがあり、これに GeForce RTX 4050 か 4060 が組み合わされている。
最安構成なら約12万5千円で買えるが、今回は上位構成である Ryzen 7 + GeForce 4060 の、約17万円のモデル(NEXTGEAR J6-A7G60GN-A)を取り上げたい。
標準構成だとメモリ16GB、ストレージ 500GB だが、カスタマイズで増量が可能。
メモリ32GB、ストレージ1TB のモデルも用意されており、この辺りは柔軟な選択が可能だ。
若者へのアピールのため、10~20代の人限定の割引サービスが行われており、SNSのアンケートでカラーを決めるなど、ユニークな方策を続けている。
以下、展示会でお聞きした内容も加味した、本機のレビューをお届けしたい。
外装
デザインとモバイル性能
まず目を引くのは色だ。
ブルーとグリーンの中間のような、とても鮮やかなカラーで、メタリックな光沢がある。
天板の中央にはピンクのロゴマークがあり、そのビビットな色の組み合わせは、いかにも若者向けらしい。
このカラーはSNSのアンケートで決められたようで、社内では不安視する声もあったようだが、ユーザーの声を重視する方針を貫いたとのこと。
ちなみに展示会で外装担当の方が「この色を鮮やかに出すのはすごい大変だった!」とコメントされていた。
表面には梨地加工があり、サラサラした触感で、指紋や手の跡は付きにくい。
鮮やかで印象的な浅葱色の天板
ピンクのロゴといい、かつてない配色
2540人のSNSユーザーが選んだ色はD!
社内ではAになると思っていたらしい
内部もキーボード周辺は鮮やかな青緑色。
電源ボタンはデザイン化された平行四辺形になっている。
後部や側面は装飾性の高い複雑な形状をしていて、底面にも特徴的な凹凸がある。
外装担当の Uniwill 社のコメントによると、後部は車を、底面は戦闘機を参考にしたとのこと。
内部も綺麗なブルーライトグリーン
背面は確かに車のテールライトっぽい
内部には2基の冷却ファンが備えられており、明らかに携帯性より通気を重視した設計。
本機の筐体は形状を見るに、マウスのゲーミングノート「G-Tune」の P6 シリーズと同じと思われる。
色やCPUは異なるが、ケース設計は共通のようで、兄弟機と言っても良いかもしれない。
なお、ゲーミングモデルなので、キーボードはもちろん光る。(オフにもできる)
やたら複雑な底面。バッグに入れるとき引っかかりそうで、通気最優先という印象
冷却部の資料画像。熱を逃がすヒートパイプがファンをぐるっと囲んでいる
サイズは前述したように16型で、ノートパソコンとしては大きめ。
ただ、これは画面がやや縦長であるためで、本体の横幅は約36cmと、15.6インチノートと変わらない。
縦幅は約27cmと大きめだが、15.6型が少し縦長になったタイプと考えると良いだろう。
ビデオカードを搭載しているため、厚さは約26mm、重さも約2.3kgある。
あまり持ち運びやすい重さではないが、しかし16型のビデオカード搭載ノートとしては、明らかに軽い方だ。
2.5kgは超えていないので、そこまでズッシリは来ない。
ACアダプタは230Wの大出力で、サイズも大きいが、見た目ほど重くはない。
重量はコード込みで670g、200W以上の出力であることを考えると軽い方だろう。
A4とセミB5のノートとの大きさ比較
横幅は一般的な15.6型ノートと同じ
ACアダプタは軽くはないけど、出力の割に重くない。本体と合わせて約3kg
インターフェイス(接続端子)は、左右側面に大きな通気口がありながらも、しっかり備わっている。
右側面には USB(3.0、5Gbps)が2つあり、SDカードリーダーも装備。
左側面にも USB(2.0)が1つと、ヘッドホンのジャック、さらにヘッドホン/マイク両用のジャックがある。
側面に USB-C がないが、左右に USB があり、右側に2つというのは使い勝手が良い。
背面には USB-C(3.1、10Gbps)、HDMI、mini DisplayPort、有線LAN端子、電源端子があり、据え置きで使うのを想定しているのか、電源や映像出力系は後ろにまとめられている。
無線通信は最新規格の Wi-Fi 6E に対応で、もちろん Bluetooth 5 も備える。
左側のUSBはマウスやコントローラー用
右側に2つのUSB。SDカードも使用可
内蔵バッテリーは約47Whで、15~16型ノートとしては一般的なサイズだ。
ゲーミングモデルだが、大型バッテリーというわけではない。
フルパワーで使っていると短時間で尽きるので、ゲームをやるときはコンセントに繋げて使うものだと考えた方がいいだろう。
ただ、詳しくは後述するが、本機は消費電力の少ない静音モードでも高い性能を発揮できる。
公称のバッテリー駆動時間は6時間。使い方次第では持ち出して使うこともできそうだ。
モニター / カメラ / サウンド
モニターは本機の大きな特徴だ。
16インチでアスペクト比(縦横比)が 16:10 の非光沢モニターが使用されている。
解像度は 1920x1200。
16:10 は最近の流行りで、一般的な 16:9 より縦が広いので作業しやすく、ウェブサイトやSNSも閲覧しやすい。
本機はテンキーが備わっており処理能力も高いため、作業用にも向いている。
そしてリフレッシュレートが165Hz(秒速165コマ)と、かなり高速。
ゲーム側の描画も速ければ、非常に滑らかな表示を行え、FPS(3Dガンシューティング)などで狙いを付けやすくなる。
普段のカーソルの動きも滑らかになるので、作業もしやすいはずだ。
液晶パネルは中国の大手メーカー BOE 社のもので、発色の目安となる sRGB 比は65%程度。
視野角は全方位85度、輝度は 300nit と、発色やリフレッシュレート以外の性能は標準的だが、見た感じ画像は美しく表示されている。
描画速度重視のモニターだが、画像や写真も普通にきれいで、見劣りはしない
ヒンジの最大角度は45度。背部端子があるのでこれ以上は傾けられない
カメラは標準的なHD画質(約100万画素)で、顔認証などは備わっていない。
持ち出すのを想定したノートPCではないため、セキュリティ機能は省かれているようだが、マイクも備わっていてWEB会議は普通に行えた。
サウンドは Nahimic のイコライザー(音響調整ソフト)が導入されている。
ゲームに向いた音響機能としてゲーミングモデルによく備わっているもので、深みのある音としっかりした低音を響かせてくれた。
設定を変えたときにもハッキリと音色が変わるため、好みの音に調整しやすい。
ゲームはもちろん、音楽を聴くのにも十分な音質だ。
※最近シェア拡大中の Nahimic オーディオ。サラウンド技術を使って足音の聞こえる方向をより分かりやすくする機能を備えており、アップデートも続いている。
キーボード
16型のノートパソコンなのでキーボードは広く、横3桁のテンキーがあり、数値入力を伴う作業も快適に行える。
キーのストローク(深さ)は1.4mmと標準的だが、押したときの感触が指にしっかり伝わって来て、反発もかなり強く、ポチポチとした気持ちの良い打鍵感がある。
本機の展示会でも外装担当の方が「キーボードの使い心地には非常にこだわった」とアピールされていた。
キーボードの配列も標準的で、違和感なくキータイプできた。
また、すべてのキーの同時押しが可能な nキーロールオーバーに対応している。
多くのキーボードはたくさんのキーを同時押しても反応するのは3~6キーまでだが、ゲームだと移動しながら攻撃しつつアイテムを使う、といった複雑な操作をする場合もあるので、同時押しできる数が少ないと操作ミスが起こり得る。
しかし本機なら、その心配はない。
ポチポチ感のあるボタン系キーボード
やや浅いがリズミカルなタイプを行える
テンキー周辺。右シフトキーが広く、カーソルキーが狭いタイプ
電源ボタンの横には動作モードの変更ボタンがあり、パフォーマンスモード、バランスモード、静音モードを、ボタン一つで手軽に切り替えられる。
また、パフォーマンスモード時にはランプが光るので、ひと目で判別可能だ。
本機の動作モードは設定が良くて便利なので、ぜひ活用して欲しい。
詳細はCPUの項目で説明している。
バックライトはキーごとに設定することはできないが、全体の色の変化には対応。
徐々に色が変わっていく設定もあり、ゲーミングらしく七色に光らせることができる。
もちろん光らない設定にすることも可能だ。
タッチパッドは左上の角をポンポンとダブルタップすることで、簡単に ON/OFF が可能。
OFF の時にはランプが灯るので、視覚的にもわかりやすい。
動作モード変更ボタンがあるのは嬉しい
電源ボタンは充電中、赤いランプが灯る
パッドは左上をポンポンすると ON/OFF できる。説明フィルムも貼ってある
パッドのサイズは標準的だが、本体の大きさを考えると、ちょっと小さめ。
指の滑りは良く、サラサラ系の触感だ。
押し込みの硬さは適度で、もちろん押し込まなくてもいい操作や、ジェスチャ操作にも対応している。
パーツ性能
処理性能(CPU)
2023年秋モデルの NEXTGEAR J6 シリーズには、Ryzen 7 7840HS を搭載した上位モデルと、Ryzen 5 7535HS を搭載した安価モデルがある。
Ryzen 7 7840HS は高性能型である Ryzen 7 なのに加え、設計(アーキテクチャ)が最新の Zen4 であり、非常に高い性能を持つ。
Ryzen 5 7535HS は中間型である Ryzen 5 で、設計も Zen3+ と呼ばれる1世代前のもの。
しかし性能は悪くなく、コストパフォーマンスは高い。
どちらも登場したのは2023年の春。
コスパがウリの機種なので、Ryzen 5 7535HS 搭載機も人気になると思うが、今回は個人的にお勧めしたい、高性能で最新設計の Ryzen 7 7840HS 搭載モデルを取り上げる。
なお、本機には「パフォーマンス」「バランス」「静音」の3つの動作モードが用意されており、これによりCPUの動作速度や、冷却ファンの回転速度が変化する。
ゲームは高パフォーマンスで、事務作業は静音で、といったように使い分けることができる。
※動作モードは「Control Center」というソフトウェアで設定可能。
Ryzen 7 7840HS の基本仕様は以下の通りだ。
8コア16スレッドのCPUで、16の作業を同時に行える。
Ryzen 5 7535HS は6コア12スレッド。
基準のTDP(電力と発熱の目安)は54Wだが、これは前述した動作モードによって変化する。
パフォーマンスモードだと80Wで動いていたのでオーバークロック気味。
バランスモードは定格の54Wで、静音モードは控えめの35Wとなっていた。
以下はパフォーマンスモードでベンチマーク(性能測定)を行った結果だ。
グラフにはバランスモードや静音モードの結果も含めている。
Ryzen 7 7840HS(パフォーマンス)
Cinebench 2024 での結果
・マルチコア性能(Cinebench R23、10分測定)
Core i9-13900HX:23200
Core i7-13700HX:20000
Ryzen 7 7840HS:16950(パフォーマンス)
Ryzen 7 7840HS:15600(バランス)
Ryzen 7 7840HS:14100(静音)
Core i9-13900H:13700
Core i7-13700H:13500
Core i7-12700H:12500
Ryzen 5 7535HS:10500
Core i7-1360P:9700
Ryzen 7 7730U:9600
Core i5-1340P:9500
Core i7-1260P:8700
Core i5-1240P:8400
Ryzen 5 7530U:8300
Core i7-1355U:7000
Core i5-1335U:6000
Core i3-1215U:5500
Ryzen 3 7330U:4950
Celeron N5100:1400
・シングルコア性能(Cinebench R23)
Core i9-13900HX:2000
Core i9-13900H:1900
Core i7-13700HX:1850
Core i7-13700H:1850
Core i7-1360P:1820
Core i7-12700H:1810
Ryzen 7 7840HS:1760
Core i7-1260P:1735
Core i5-1340P:1720
Core i7-1355U:1720
Core i5-1240P:1680
Core i5-1335U:1670
Core i3-1215U:1550
Ryzen 5 7535HS:1480
Ryzen 7 7730U:1430
Ryzen 5 7530U:1400
Ryzen 3 7330U:1370
Celeron N5100:580
マルチコアの測定結果は約17000。非常に高い数値で、Core i9-13900H を大きく超える。
デスクトップパソコンに匹敵する性能値であり、電力効率も素晴らしい。
一方、シングルコア性能は Core より低く、第13世代の標準型 Core i7 より若干劣る。
とは言え、スコアは 1760 と高い数値であり、これだけあれば十分だ。
パフォーマンスモードだと高負荷時の動作音は大きく、50db 前後の騒音があったが、性能を考えるとやや抑えめ。
CPU温度も85℃辺りで、そこまで高くはならない。
最新設計(Zen4)だけあって、省電力化・低発熱化が進んでいるのが分かる。
また、測定が終わるとすぐに35℃辺りまで温度が下がっていたため、本機の冷却や通気性もかなり良さそうだ。
バランスモードだとマルチコアのスコアは 15600 ほどに下がったが、大差はない。
シングルコアのスコアはパフォーマンスモードと変わらず、一方で高負荷時の動作音は 45db ほどに低下、CPU温度も65~70℃とかなり控えめに。
性能に対する発熱量はかなり低い。
そして静音モードでもマルチコアのスコアは 14100 と、なんと Core i9-13900H 以上。
シングルコアのスコアは変化せず、動作音はかなり静かになり、温度は60℃以下まで低下。
この電力・発熱効率の良さは、本当に素晴らしい。
これなら普段は静音モードで使うのが良さそうだ。バッテリーも長持ちするだろう。
以下はパフォーマンスモードで行った、パソコン測定ソフト PCMark10 の結果だ。
全項目が高い数値で、特に Ryzen は表計算を得意とする。書類作成の数値も非常に高い。
本機はゲーミングPCだが、数値だけ見ると事務処理に向いている。
ビデオカードの性能もあって、画像や映像の編集も優れており、一通りの作業を快適にこなせるだろう。
ちなみに、静音モードだと以下のようになった。
パフォーマンスモードとあまり違わない。
十分なマルチコア性能に加え、シングルコア性能は同じなので、差が出ないようだ。
ますます普段は静音モードで良い気がする。
なお、Ryzen 7 7840HS、設計名「Zen4 Phoenix」には、Ryzen AI と呼ばれる AI 機能が搭載されている。
これにより、オンライン会議時の背景ぼかしなどの処理を内蔵AIに任せたりできたりするはずなのだが……
問い合わせてみたところ、まだ Windows と上手くかみ合っておらず、今後の BIOS アップデートが必要で、11月時点では対応していないとのことだった。
※後日追記
11月24日に NEXTGEAR J6(A7G60GN-A)の BIOS とドライバのアップデートが公開され、適用により Ryzen AI の機能を使用できるようになったと、マウス様よりご連絡を頂きました。
ドライバとBIOSのアップデートの方法と、必要なファイルは、マウスコンピューターのサポートページ内にある「ドライバ・マニュアル ダウンロード」に、シリアルナンバーを入力することで入手できます。
シリアルナンバーは本体の底に貼られているシールで確認できます。
もしBIOSのバージョンが解説ページのものより古いなら、アップデートによって安定性が向上すると共に、Ryzen AI も機能し始めます。
ただし、BIOSのアップデートは失敗するとパソコンの故障を招くので、よく説明を読んで、万全の状態で行ってください。
グラフィック性能(ビデオカード)
2023年秋モデルの NEXTGEAR J6 シリーズは、ビデオカード に GeForce RTX 4050 Laptop か、GeForce RTX 4060 Laptop を搭載している。
どちらも最新型である GeForce 4000 シリーズのノートPC用で、性能向上に加えて電力効率も優れており、DLSS3 など新技術にも対応している。
ビデオメモリは 4050 が6GB、4060 が8GBだ。
今回は上位モデルである GeForce RTX 4060 を搭載しているモデルを取り上げる。
以下はベンチマーク(性能計測)ソフト 3D Mark:TimeSpy の結果と、他のノートPC用ビデオカードとの比較グラフだ。
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。
・3D Mark: TimeSpy(ノート用GPU)
GeForce RTX 4090 Laptop:21900
GeForce RTX 4080 Laptop:19000
GeForce RTX 4070 Laptop:12000
GeForce RTX 3080 (mobile):12000
GeForce RTX 4060 Laptop:10600(本機)
GeForce RTX 3070 (mobile):10400
GeForce RTX 4050 Laptop:8500
GeForce RTX 3060(mobile):8350
GeForce RTX 1660Ti(mobile):5550
GeForce RTX 1660:5400
GeForce RTX 3050(mobile):4850
GeForce GTX 1650(mobile):3400
Iris Xe(第13世代 Core 内蔵):1800
Ryzen 5 6600U(CPU内蔵、RDNA2):1600
Iris Xe(第11世代 Core 内蔵):1400
Core i3-1115G4 (CPU内蔵、Intel UHD):700
Ryzen 3 7330U(CPU内蔵、Vega 6):580
グラフィックスコアは約10600。
投入電力が標準(115W)より高い140Wになっていたためか、平均値より少し高めのスコアが出ていた。
GeForce RTX 4050 の場合は 8500 前後になるはずだ。
では、実際にゲームがどのぐらい動くのか?
以下はパフォーマンスモードで測定した各ゲームの動作速度の一覧だ。
なお、本機は画面がやや縦長(16:10)なので、最大解像度は 1920x1080 ではなく、1920x1200 となる。
(以下の動画は実機で録画したものですが、再生速度は30fpsです)
・モンスターハンターライズ
1920x1080:高画質の戦闘中で110~130fps、平均115fps
高画質でも120fps近い速度が出るため、とても快適にプレイ可能だ。
DLSS を効かせることもできるが、ほとんど効果はなく、水面表現などが劣化する。
・アーマードコア6
1920x1200:最高画質で100fps~120fps
このゲームは120fpsが最高で、ほぼ110fps以上で動作することができる。
砂嵐や吹雪のシーンなどで100fps以下になることもあるが、大きな影響はない。
・エルデンリング
1920x1080:最高画質でほぼ60fps
このゲームは60fpsが最高で、ほぼその状態で動く。
美しい映像で、快適にプレイできる。
・龍が如く 7 外伝
1920x1200:最高画質で70~90fps
最高画質でも60fpsを常時上回ることができる。
また、DLSS の効果が大きく、ON にしてパフォーマンス重視にすると 130~150fps まで描画速度がアップする。
ON にしても画質の劣化や異常は特に感じなかった。
・ストリートファイター6(ベンチマーク)
1920x1080:クオリティ HIGHEST:対戦中60fps、会場内111fps、街中108fps
最高画質でもバトルは60fps(上限値)、他のシーンも100fps以上で動作する。
評価点は100点(満点)であり、高画質で快適に遊べる。
・ディアブロ4
1920x1200:高画質で130~160fpsで動作
非常に快適に遊べる。本機の165Hzのリフレッシュレートも活かすことができる。
また、DLSS の効果が大きく、ON にしてパフォーマンス重視にすると 200fps 以上の、リフレッシュレートを大きく超える描画速度となる。
DLSS による画質の劣化や異常も見られない。
現行のゲームはすべてプレイ可能と言って良く、性能不足を感じることはほぼないだろう。
さすがに165fpsで動かそうとすると、多くのゲームで画質を下げる必要があり、本機の165Hzのリフレッシュレートを活かせるゲームは限られるが、それでも十分な描画能力だ。
なお、静音モードで測定した場合、グラフィックスコアは約6200まで低下した。
約60%の性能になってしまうので、ゲームを高いパフォーマンスで動かせなくなる。
とは言え、スコア6200は GeForce GTX 1660Ti より上である。
つまり、もっと安いゲーミングモデルよりも、本機の静音モードは性能で勝る。
以下は静音モードで測ったストリートファイター6のベンチマーク結果(最高画質)だが、バトルシーンは 60fps で動作、他のシーンでも問題ない速度が出ていた。
そして、とても静かに動いた。
※なんと静音モードでもスト6が100点満点! GPU温度は55℃以下で安定。
軽めのゲームや、静かに遊びたい場合は、静音モードでのゲームプレイも十分アリだろう。
この静かさでこのゲーミング性能を出せるノートPCを、私は初めて見た。
なお、バランスモードはグラフィック性能に影響はない。
CPUのマルチコア性能が若干落ちる程度であり、マルチコア性能はほとんどのゲームに影響しないため、普段バランスモードで使う場合は、そのままゲームをやっても問題はない。
ちなみに、余談ではあるが……
本機のCPUである Ryzen 7 7840HS(Zen4 Phoenix)には、新型の内蔵グラフィック機能(RDNA3 / Radeon 780M)が含まれている。
本機はビデオカードを搭載しているので意味はないのだが、一応そちらの性能も測ってみた。
Zen4 の内蔵グラフィック機能を知りたい方は参考にして欲しい。
グラフィックスコアは2500。
ノート用 第13世代 Core に内蔵されている
Iris Xe の約1.4倍の能力だ。
ストレージ(記録装置)とメモリ
ストレージ(データ記録装置)には第4世代(Gen4)の が使用されている。
小型で高速、現在主流のストレージだ。
今回扱っている Ryzen 7 と GeForce 4060 を搭載するモデル(NEXTGEAR J6-A7G60GN-A)には、メモリが16GBでストレージが500GBのものと、メモリが32GBでストレージが1TBのものがある。
今回はストレージ500GBのものをお借りしたのだが、正直、今どきのゲーミングモデルとしては500GBはちょっと少なく、1TBは欲しい。
ただ、本機はメモリやストレージのカスタマイズに対応していて、1TB や 2TB の NVMe SSD に変更可能、さらに2本目の NVMe SSD の増設も行ってくれる。
ストレージを 1TB にしてメモリも 32GB にするのであれば、最初からそうなっているモデルを買う方が安いが、ともあれノートPCで柔軟にカスタマイズできるのは特筆すべき点だ。
以下は試用機に使われていたストレージのベンチマーク(性能測定)ソフト結果である。
標準設定での測定
NVMe SSD 設定の測定
搭載されていたのは Solidigm(ソリダイム)という会社の こちら の製品。
聞きなれないメーカーだが、米インテルのSSD開発部門が、韓国のSKハイニックスに売却されてできた新会社だ。
技術的にはインテルのSSDなので、信頼性の高さは引き継いでいると思われる。
読み込み3500MB/s、書き込み1600MB/s で、ほぼ公称通り。
Gen4 の製品としては書き込み速度が物足りないが、これは512GBの場合で、1TBの製品だと公称値は読み込み4125MB/s、書き込み2950MB/s となる。
ランダムアクセスも NVMe SSD としては、あまり高くない。普通の SSD と同程度。
と言うか、NVMe SSD で本来可能な同時処理が行われていない。
ただ、インテルの NVMe SSD は前からそうだったので、この製品に限った話ではない。
高速と言える NVMe SSD ではないが、インテルのSSDは寿命や耐久性といった、ベンチマークでは計れない部分での評価が高い。
ソリダイムがインテルのままなら、本製品もおそらくそうなので、安心して使えるはずだ。
なお、カスタマイズで他のメーカーのストレージに変更することもできる。
メモリは最新型の DDR5(DDR5-4800/PC5-38400)が使われていて、前述したように16GBと32GBのモデルがあり、カスタマイズで増量も可能である。
2本のメモリにデータを分散して高速化するデュアルチャネルで動作しており、16GBなら8GBのメモリを2本搭載している。
性能も容量も問題はない。
もし長時間のゲームプレイや、動画の配信、画像や映像の編集などを考えているのであれば、32GBがあった方が安心できるだろう。
総評
Zen4 の Ryzen の性能が予想以上に良く、非常にコストパフォーマンスに優れたノートPCだ。
Ryzen 7 7840HS は以前の Ryzen と違い発熱が低く、安定性・速度・静音性に優れている。
シングルコア性能で Core に劣るため、Ryzen はゲーム向きでないと言われているが、Ryzen 7 7840HS ならその点でも大きな差はない。
そして、電力効率に優れたCPU&ビデオカードと、静音モードの余裕のある出力設定、ちょうど良いファンの回転速度により、静かに GeForce GTX 1660Ti クラスのゲーミング性能を発揮できるのは特筆したい点だ。
狙って作ったのではないと思うが、静音モードでストリートファイター6のベンチマークで満点を叩き出すその様は「静音ゲーミングノート」と言っても過言ではない。
高性能だが重すぎず、高いグラフィック性能とテンキーを持つため幅広く活用でき、やや縦長の画面と鮮やかなカラーも最近の流行りをきっちり取り入れている印象。
今期一押しのゲーミングノートと言って良いだろう。
(このレビューは Ryzen 7 7840HS 搭載機のものです。Ryzen 5 7535HS 搭載機は Zen3+ のため、同様の評価になるとは限りません)
・NEXTGEAR J6-A7G60GN-A(メモリ16GB)
・NEXTGEAR J6-A7G60GN-A(メモリ32GB)
形式:16インチ ノートパソコン
CPU:Ryzen 7 7840HS(Zen 4 Phoenix)
グラフィックス:GeForce RTX 4060 Laptop 8GB
メモリ:16 / 32GB(DDR5-4800)
ストレージ:500 / 1TB NVMe SSD(Gen4)
モニター:解像度1920x1200、16:10、リフレッシュレート165Hz
サウンド:Nahimic のイコライザー
通信:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5
モバイル性能:2.29kg、バッテリー47Wh、公称6時間
その他:3つの動作モード、nキーロールオーバー、230W大型ACアダプタ、NVMe SSD 追加可能
定価:税込 169,800円 / 189,800円
※詳細はマウスコンピューター公式サイトをご覧下さい。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。